話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『珈琲店タレーランの事件簿 彼女はカフェオレの夢を見る』
『珈琲店タレーランの事件簿 彼女はカフェオレの夢を見る』原作者の岡崎琢磨先生から、 コメントをいただきました!
『このマンガがすごい! comics 珈琲店タレーランの事件簿 彼女はカフェオレの夢を見る』 第1巻
岡崎琢磨(作) 峠比呂(画) 宝島社 ¥540+税
(2016年8月22日発売)
累計170万部の人気ミステリシリーズ『珈琲店タレーランの事件簿』。
昨年(2015年)には、峠比呂によるコミカライズ作品『珈琲店タレーランの事件簿』(全2巻)が発売され好評であったが、この8月にはコミカライズの第2弾『珈琲店タレーランの事件簿 彼女はカフェオレの夢を見る』の第1巻が刊行された。
京都の街なかの隠れ家的な店「純喫茶タレーラン」。「タレーラン」の美人バリスタ切間美星(きりま・みほし)は、来客らが持ちこむ謎を快刀乱麻で解き明かす名探偵でもある。
そんな美星に思いを寄せる青年アオヤマ、「タレーラン」のオーナーで、とぼけた雰囲気の藻川老人といったおなじみの登場人物たちに加え、今回はゲストキャラクターとして美星の妹・美空が登場する。
また、本書ではコミカライズの第1作では語られなかった、美星のプライベートな一面が明かされるので、〈珈琲店タレーランの事件簿〉シリーズの読者としては、その点でも外せないところだろう。
今回も美星の推理は冴えわたる。
アオヤマが、カフェで耳にした若い女性客同士の会話を伝え、
「それでこのあとどうなったと思います?」
と勢いこんで質問すると、美星はアオヤマにひとつだけ質問をして、たちどころに正解を告げる。
また、友人の水山晶子(みずやま・しょうこ)からは、彼女の姉のもとに届いた元婚約者からの手紙について相談を受ける。
元婚約者からの手紙は、消印から判断すると1カ月前に投函されているのだが、宛先はその時点では決まってなかった晶子の姉の引っ越し先が書かれていたのだ。
電話、さらにいえばメールやラインのような電子的なコミュニケーション手段が普及して、郵便で手紙やハガキを出すことは少なくなっている。
それだけに手紙が絡んだトリックとは非常に懐かしい想いがする。
ちなみに、今回の手紙のトリックから、筆者は土屋隆夫の誘拐物の名作『針の誘い』を連想したのだが、読者諸氏はいかがだったろうか?
さて、こうしたエピソードを経て、いよいよ美星の妹・美空が登場することとなる。