話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『珈琲店タレーランの事件簿 彼女はカフェオレの夢を見る』
『珈琲店タレーランの事件簿 彼女はカフェオレの夢を見る』著者の峠比呂先生から、
コメントをいただきました!
『このマンガがすごい! Comics 珈琲店タレーランの事件簿 彼女はカフェオレの夢を見る』第2巻
岡崎琢磨(作) 峠比呂(画) 宝島社 ¥540+税
(2016年10月7日発売)
美人バリスタの名探偵・切間美星が活躍する人気ミステリーシリーズ〈珈琲店タレーランの事件簿〉。このシリーズは『これだからアニメってやつは!』などの峠比呂によりマンガ化されている。
昨年(2015年)の『珈琲店タレーランの事件簿』(全2巻)に続き、今年の8月には第2弾『珈琲店タレーランの事件簿 彼女はカフェオレの夢を見る』の第1巻が刊行された。そして『彼女はカフェオレの夢を見る』も、この第2巻で完結となる。
第2巻は、「純喫茶タレーラン」がライターの取材を受けるエピソードから始まる。
京都のカフェの取材に来た、というライターは「タレーラン」のオーナー・藻川老人の自慢話につきあわされることになるのだが、一方、手持ちぶさたとなった美星は、アオヤマとミステリー小説『珈琲探偵レイラの事件簿』に手を伸ばす。この小説は、妹の美空がベースやアンプといった楽器などといっしょに「タレーラン」に持ちこんだものだ。
『珈琲探偵レイラの事件簿』は、覆面作家として活動していた梶井文江(かじい・ふみえ)が発表したミステリー短編集だが、盗作騒動が起こって出版社が自主回収するとともに絶版にした、いわば「幻の書」ともいえる作品なのだ。
そして、梶井は盗作作家の汚名を受け、第一線を退くこととなった。そのためマスコミからは「レイラで零落」と揶揄されるようになる。
『珈琲探偵レイラの事件簿』は作中作で、原作の小説では、その部分でフォントを変えることで、作品世界の違いを表現していた。一方、マンガでは絵柄を変えることで『タレーラン』とは別の世界であることを明示している。