業界注目度No.1!?
「このマンガがすごい!WEB」が誇るランキング選者に協力いただくアンケート集計をもとに、決定される毎月恒例の「このマンガがすごい!」ランキング。今月のランキングは……。
オトコ編第1位、そして第3位の栄えあるWランクインは、施川ユウキ先生!
第1位に、海を目指す小人たちを描く『ヨルとネル』、第3位に、アニメも絶賛放送中の読書あるあるギャグマンガ『バーナード嬢曰く。』と、今月は施川ユウキ祭りです!
さっそくランキング選者たちの熱いメッセージを見ていきましょう!
(2016年10月1日~10月31日発売作品を集計)
第1位(238ポイント)
『ヨルとネル』 施川ユウキ
『ヨルとネル』
施川ユウキ 秋田書店
赤いマフラーがトレードマークのクールガイ・ヨルとニットキャップがトレードマークのおひとよし・ネル。身長わずか11センチという“こびと”の2人は、生体科学研究所からの逃亡者だった。
「このマンガがすごい!」ランキングの常連、施川ユウキ最新作。
基本的には“人間世界に迷いこんだこびとたち”がおりなすコメディなのですが、どうやらそれだけに終わらなそうな……!?
オススメボイス!
■毎回テーマに合わせた施川節を保ったまま、少年2人の逃避行という物語要素を盛りこみ、美しさを感じられる作品に仕上がっていた(いのけん/麻雀マンガブログ管理人)
■かわいらしさとギャグが隠し味となって、著者独特のシニカルな視線が強烈に刺さる(卯月鮎/書評家・ゲームコラムニスト)
■『ド嬢』アニメ化絶好調の著者が描く、こびと2人の逃亡道行き。詩情あふれるのに不穏。「ヨルは怪物でヒーローで僕の友達だ」と、守ってもらう場面多いネル。クールで横暴なようで涙もろいヨル。ほんのりBL風味だが途中明かされる年齢……。キラキラした自然描写など、仏作家ル・クレジオの『海を見たことがなかった少年』(授業切り取りで学んだ、ド嬢そのもの、未読了だけど!)を思い出すなぁ、と感じたらバンドデシネ某作品の影響を、本人が後書きに。落涙。生涯フェイバリットです、本書(澤水月/報道勤務、ライター、平山夢明mixiコミュ管理人)
■ここまで「すごい作品を読んだ」という読後感は久しぶり。結末に向かい読み進むのが怖かった。とにかく読まなきゃもったいないとしかいえない自分の語彙のなさが恨めしい(杉山陽一/COMIC ZIN秋葉原店 コミックバイヤー)
■2人のこびとの逃避行。2人とももとは普通の人間だったらしく、研究施設から逃亡している。不穏な設定と、小人2人のコミカルな会話の対比が印象的。そして怒濤の後半の展開は、ぜひ読んでほしい(山本浩平/まんだらけうめだ店コミックスタッフ)
■2人の逃亡者の物語。静かに、淡々としていながら、緊迫感が常に。希望が見えなくても、生きる意味とは(soorce/オヤジ漫画系ブロガー)
■ギャグなのに暗い。暗いのにポジティヴなおかしさがある。それが施川ユウキの魅力だと思う。そのことをよりよく感じられるのが本作である。一種の「あるある」を4コママンガに近いスタイルに落としこみながら、その背後にはシリアスなテーマが広がっている。前景のギャグと、後景のストーリーとがマッチングし、手探りで逃亡の旅を続けなければならない主人公たちに、はっとさせられるまでの存在感を与えているのだ。その存在感には、どれだけの不幸であろうと抗うことには意味があるのだという力強さが示されていく(森田真功/ライター、ブログ「Lエルトセヴン7 第2ステージ」管理人)
第2位(108ポイント)
『青猫について』 小原愼司
『青猫について』
小原愼司 小学館
大きな戦争が終わったばかりで焼け野原となった日本。
麻薬が横行し人身も荒れ果てた世界に現れた美少女は、黒髪を青く光らせて猫のようにすばやく太刀をふるう「人斬り青猫」。彼女は仇と狙う“火男(ひょっとこ)のイレズミの男”を追って、姉のゆくえを追う相棒・ノブちゃんと旅を続ける。
黒髪おさげのセーラー服美少女が血と臓物にまみれる凄絶なアクション。小原愼司の新境地開拓か!?
オススメボイス!
■世界の秩序が危ういバランスで成り立っていることと、バサバサと人が死んでいくのに妙にドライな雰囲気であることが、非常に小原さんの絵柄・描線にマッチしている。『菫画報』のイメージが個人的には強いが、これはこれでいい(冬蜂/風俗情報サイト「フーゾクDX」制作部)
■戦後の闇市を舞台に、クールなそぶりに復讐心の炎を宿したセーラー服少女が日本刀でヤクザを斬りまくる! エログロバイオレンスてんこ盛りな世界観でも悪趣味ではなくどこか透き通った品のよさを感じさせる趣は、著者のマンガ力がなせるわざというほかない(宮本直毅/ライター)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!
第3位(106ポイント)
『バーナード嬢曰く。』 施川ユウキ
『バーナード嬢曰く。』
施川ユウキ 一迅社
本を読まずに読書通に見られるためアレコレ策を講じる努力する“バーナード嬢”こと町田さわ子やツッコミ役でSFマニアの神林しおり、ちょい古めの流行本を好む男子生徒・遠藤らが「読書」をテーマに繰り広げるシュールギャグ。
図書室で展開する一種のシチュエーションコメディも、はや第3巻。
アニメ化も好評で、あらためて人気上昇中です。
オススメボイス!
■この秋アニメ化もされた、“読書家あるある”や“本のうんちく”を上手にギャグに昇華したショートコメディ。1冊の本や、ちょっとした日常の出来事から話を始めて、次々といろんな本に話題をつなげていく手腕は名人芸といった感じです(犬紳士/養蜂家)
■本の話をしているだけだけど、だんだんとキャラ関係が構築されているのが施川節。最近ややマイルド(黒鈴/電子書店スタッフ)
■本読みであればだれもが何度でもうなづき、ほっこりできる、小さな図書館物語! クールに見えるがじつは熱く、情に熱い神林さんが推しキャラです!(稀見理都/エロマンガ研究者)
■2巻から、百合方向への注力により大化けしました。3巻でも快調に読書して百合してたいへんなことになっております。神林さんがどんどんさわ子に心を開いていくところが愛おしくてたまらない。しかし、施川ユウキ先生はこのような方面に才能があったことは自覚されていたのだろうか(すけきょう/ブログ「ポトチャリコミック」管理人)