話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『野原ひろし 昼メシの流儀』
『野原ひろし 昼メシの流儀』著者の塚原洋一先生から、コメントをいただきました!
『野原ひろし 昼メシの流儀』 第1巻
塚原洋一(著) 臼井儀人(キャラクター原作) 双葉社 ¥600+税
(2016年10月22日発売)
こりゃあ時代を揺るがすスピンオフだぜ。
いわずと知れたギャグマンガの名作『クレヨンしんちゃん』の公式スピンオフ『野原ひろし 昼メシの流儀』。『新クレヨンしんちゃん』と共に「月刊まんがタウン」に連載されている。
『クレヨンしんちゃん』のスピンオフといえば、『アクション仮面』の連載が始まった時に、めっちゃびびった記憶がある。大ざっぱにまとめると、マジにシリアスなアクション仮面がブイブイいわせるヒーローマンガだ。
そして、今回新たに登場したスピンオフが本作『野原ひろし 昼メシの流儀』。
タイトルのとおり、サラリーマン・ひろしの平日の昼メシを紹介している。少ない小遣いでやりくりしながら、少しでもおいしくて、午後の仕事をのりきるテンションの上がる昼メシを求めようとするひろしの心情が表現されているほのぼの系グルメマンガだ。
特筆すべきは食事シーンの描写である。
グルメマンガは数あれど「キャラクターが本当においしそうに食事している様子を描く」という基本をクリアしているマンガって、じつはそんなにないと思う。
要するに、「ラピュタパン[注1]」みたいに「うぉ~、それ、食べたい!」という気持ちをそそられるかどうかっていうところが重要なのだ。描写のリアルさやキレイさとは別の次元の話である。
そこんところ、『野原ひろし 昼メシの流儀』は、満点!
で、まぁ見ていただきたいのです。うまそうに昼メシ食ってる我らがひろしの様子を。
まずは、かつ丼を食うひろし。
次は、汗をかきながらベリーホット(激辛)のカレーを食うひろし。
それから、大口の取引を成功させた日に、自分へのごほうびとして立ち食いステーキを食うひろし。まずはステーキを堪能したあと、残った数切れの肉とライスを鉄板の上で炒めて、“ステーキライス”として味わいつくす。
- [注1]ラピュタパン 劇場版アニメ「天空の城ラピュタ」に登場する目玉焼きを乗せたトースト(ファンのあいだでの別称)。シンプルだが、「トロリとした目玉焼きがおいしそう!」と観ているだけで食べたくなる絶品。