1990年代中盤の不良界は、ツッパリ・ヤンキーの昭和スタイルからチーマーと呼ばれる現代的なスタイルへと変化をとげていた。
しかし杉並・世田谷周辺には昔ながらの不良スタイルを貫き続ける暴走族が残存していた。見立田の永福町卍黒帝会、工藤の宮前愚連隊、石田の千歳卍黒帝会……。これらがひとつの大きな組織となったものが関東連合だ。
暴走族のメンバーは10代のうちに引退するのが一般的だが、関東連合は成人以降もその力を誇示。暴走族でもヤクザでもない“いびつな絆”を持つ半グレ集団に成長していく。
やがて渋谷センター街のチーマーを一掃し、六本木に進出した関東連合は、経済界、スポーツ界、芸能界へとコネクションを広げていく。
この1巻では、のちの六本木クラブ襲撃事件につながる火種が描かれる。キーマンは関東連合と敵対する新宿ジャックスの鬼村兄弟。なかでも弟の龍二は見立田にとって目の上のたんこぶ的存在だ。
そして見立田と龍二をつなぐパイプとなったのが金山。
ステロイドとハードトレーニングによって強靭な身体をつくりあげた金山は見立田の先輩でもあり、鬼村兄弟とも友好関係にあった。これらの因縁が複雑に絡みながら、物語は最悪なベクトルに転がり始める。
あらためて注意してほしいのが、本作はあくまで実在の事件をモデルとしたフィクションであるということ。
関東連合、新宿ジャックスといったリアルな固有名詞に対して、キャラクターは架空の人物。ビジュアルやセリフは創作である。巻末のインタビューによると、原作の柴田大輔は自著『いびつな絆 関東連合の真実』では出せなかった当時の空気感を、マンガで再現したいと考えたそうだ。
史上最強の暴力集団がどのような経緯で誕生し、闇の社会で勢力を伸ばしていき、最悪の結末を迎えたのか……。
ワイドショーで表層をなめるだけでは、絶対に理解できないアウトローたちの暴走劇から目が離せない!
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<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。