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『ボーダー』第2巻 渡辺ペコ 【日刊マンガガイド】

2014/10/29


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『ボーダー』第2巻
渡辺ペコ 集英社 ¥ 562+税
(2014年10月10日発売)


モラトリアムな大学生の清田は、ひょんなことから出会った“きれいなお姉さん”に惹かれるが、じつはその種田さんは、バツイチ子持ちの元・男だった――。
『にこたま』で、アラサーカップルの「浮気&相手の妊娠」を描いた渡辺ペコが、次に挑むテーマは「トランスジェンダーとの恋」。

種田さんの告白を受けて「セックスできんの?」と思った直後に、人を好きになることは結局セックスなのか? と悶々としながらも、前へ進もうとする清田。清田に負い目を感じながらも、自分に胸を張って彼を信じようとする種田さん。夫の意志を理解し、応援するものの最終的には別れを決意する元妻のりっちゃん。2人への嫉妬心から「私の彼氏フツーに男だもん」と口にする桜井さん。
トランスジェンダーというある意味、特殊ともいえる題材を、いろんな立場のいろんな心理をリアルに描くことで身近に感じさせるあたり、うまい!

「フツーじゃないことにまき込んでごめん」という種田さんの言葉どおり、本作のテーマはセクシャリティうんぬんではなく、じつは「(自分にとって)フツーじゃないことをどう受け入れていくか」なわけで。
『にこたま』同様、たんなる恋愛モノではなく、最終的には性徴ならぬ「成長モノ」に着地してゆくあたりも深イイ。

2人の関係自体はもっと掘りさげられそうなだけに、このエンディングは呆気なくもあるが、これはこれで爽やか。2巻完結と手を出しやすいので、迷ってる人はぜひ。



<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69

単行本情報

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