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『銀河帝国興亡史3 ファウンデーション対帝国』 アイザック・アシモフ(作) 久間月慧太郎/Seldon Project(画) 岡部宏之(訳) 【日刊マンガガイド】

2017/01/06


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『銀河帝国興亡史3 ファウンデーション対帝国』


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『銀河帝国興亡史3 ファウンデーション対帝国』
アイザック・アシモフ(作) 久間月慧太郎/Seldon Project(画) 岡部宏之(訳)
サイドランチ ¥900+税
(2016年12月6日発売)


SF小説界の大御所、アイザック・アシモフの「ファウンデーション」シリーズをマンガ化した『銀河帝国興亡史』の第3巻が2016年12月に発売された。

大宇宙に、銀河帝国を名乗る巨大な勢力があった。
無数の星々を支配する覇権をにぎりながらも、今は過去のテクノロジーを使いまわすばかりであらゆる面が衰退しつつある末期の政治機構だ。

将来、間違いなく帝国は崩壊を迎えることになる。
そのとき人々のうえにふりかかるであろう苦難を最少・最短にとどめて新たな秩序が確立されるようにせねばならない。
そう考え、手をつくした男。
それが伝説の数学者、ハリ・セルダンである。
セルダンは超・大規模な統計的分析から未来のなりゆきをきわめて高い精度で予測する学問「心理歴史学」と、技術的な暗黒時代をのりきるため世界のあらゆる知識を保存する集団「ファウンデーション」をのこし、この世を去った。

そしてしばらくの年月が流れ、帝国がファウンデーションの存在に気づいた時、古い時代と新しい時代のせめぎあいがいよいよ幕を開けた。
しかしそれは勝利を約束されていたはずのファウンデーション側の変革をもともなう、容赦ない歴史の波のおとずれでもあった……。

というのが「ファウンデーション」シリーズの大筋で、今回刊行されたマンガ版第3巻は原作の第2作目「ファウンデーション対帝国」をもとに展開する。

物語をうごかすのは、ある時代に帝国のなかにあらわれた、優れた知略と野心を持つ若き将軍である。
彼はおとぎ話のようなファウンデーションの伝説をたどり、その勢力が実在する手がかりをつかむと、すばやく調査と侵攻に向かう。
巻き起こる波乱のなか、ファウンデーションに関する情報を持っていたことからアドバイザーとして強引に連行された心理歴史学者の老貴族、そしてファウンデーション側から工作員として送りこまれたかたやぶりな貿易商人の男がそれぞれの信念を持って行動し、戦争の結末について“セルダン予測”が示す不可避のなりゆきを目撃していく。

ここで描かれるのは、発達をきわめて宇宙に広がる科学の時代を描きつつも、巨大帝国の興亡という舞台仕立てのもと、予言によって未来を決定づけられた者たちがどう行動するのか冷徹に俯瞰する、古代史劇めいた趣きのドラマである。
大きな運命で勝ち負けが決まっているのなら、個々の人間が何を思ってどう行動しても意味はないのか……という焦点がマクロとミクロを結んで重厚な趣きをかもしだす。
原作はたいへん長大で複雑な物語だが、そのわかりやすいダイジェストとして非常によくまとまったコミカライズだ。

余談だが、「ファウンデーション」シリーズをスペースオペラの金字塔とみた時に、後世のジャンル関連作として、海外なら映画『スター・ウォーズ』、国内なら小説『銀河英雄伝説』が有名どころとしてよくあげられる。
ちょうど『スター・ウォーズ』は外伝『ローグ・ワン』が公開され、“銀英伝”は「週刊ヤングジャンプ」誌で藤崎竜によるコミカライズが連載中という今この時、いわば源流にあたる「ファウンデーション」にさかのぼってみるのも楽しいかもしれない。

その際の入口として、このマンガ版はうってつけだ。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメやマンガ、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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