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『狭い世界のアイデンティティー』(押切蓮介)ロングレビュー! 打ち切り作家は磔刑だっ! マンガ業界の真実(?)を暴き出す問題作!!

2017/06/10


話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!

今回紹介するのは『狭い世界のアイデンティティー』


『狭い世界のアイデンティティー』著者の押切蓮介先生から、コメントをいただきました!

『狭い世界のアイデンティティー』を通して、業界に喧嘩を売るとか、うっぷんを晴らすといった思考はいっさいありません。ただただ本能に従って表現している作品です。
一般読者に向けたというよりマンガ業界に携わっている方々が見て、少しでも楽しんでくれたらなと思って始めた作品です。要所要所で業界をかなりうがった見方をして描いておりますが ただの誇張です。
マンガ業界はとても穏やかで優しい業界です。
携わることで人生に彩を持つことができると思っております。
作品に描かれている残酷な人間はこの19年間で見たことがありません。
本当にすばらしい世界です。

……というのは、嘘であり、『狭い世界のアイデンティティー』の世界こそ業界の本質をついているのだと僕は確信しております。
この世界は思ったよりドロドロしており、嫉妬と憎悪が渦巻いている恐ろしい世界なのです。
とてつもない競争社会であり、醜い蹴落としあいが今でも行われております。
この作品は決して万人受けはしません。
人の心を動かそうとか、感動させようとか、そういう健全な気持ちで描いていないからです。
ただただ身体の芯から出てくる黒いもので描いております。
これからもっともっと酷いマンガになるでしょう。
取り上げてくれた「このマンガがすごい」の組織をも悪に描く予定です。
でもこの作品を描ききった時、清らかな気持ちでマンガを描けてる自分が、待っててくれたらうれしいです。


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『狭い世界のアイデンティティー』 第1巻
押切蓮介 講談社 ¥570+税
(2017年4月21日発売)


この腐りきったマンガ業界のなかで、漫画家としてのし上がるには、マンガ力だけでは足りない……
“暴”の力でマンガ業界を邁進せよ。

マンガ業界最大手のひとつ件社(くだんしゃ)が帝王ホテルで催す謝恩会は、著名な漫画家や関係者が集まる欲望の宴。
年間新人賞の佳作を受賞した主人公の神藤マホ(しんどう・まほ)は、壇上に居並ぶライバル受賞者をたちまち瞬殺!!
……って、ええ〜!? 殺すの!? 殺しちゃうの!?
そう、ここは血で血を洗う醜悪な戦場。
週刊青年マンガ誌グッドナイトにマンガを持ち込みに行った末、ビルから突き落とされ殺害された兄の復讐こそがマホの願いなのだ!

週刊グッドナイト年間新人賞を受賞した5人が壇上に。ここでマホは一気にしかけ、ライバルを蹴落とす!!

週刊グッドナイト年間新人賞を受賞した5人が壇上に。ここでマホは一気にしかけ、ライバルを蹴落とす!!


マンガ業界を格闘ものとして描く押切蓮介の『狭い世界のアイデンティティー』の第1巻。
これは押切版「まんが道」なのか!? いや、これは血と怨嗟と妄執で彩られた「マンガ 怒りのデスロード」だ!!
この世界でマンガを描くことは、すなわち命のやりとりにほかならない。
新人作家の利き腕は芽が出る前に潰せ!
打ち切り作家は磔!
老害作家には鉄槌を!

とにかく出てくるキャラクターが悪い表情しか見せないのが潔い。
漫画家、編集者、営業、アシスタント、書店員。
己の欲望に忠実で、他人を蹴落とすことに戸惑いを見せないキャラクターばかり。
ありとあらゆる場面で繰り広げられる血しぶき、血吹雪、血煙のオンパレード。
その戦いには一理あったりなかったりするのだが、なかにはハッとさせられるような一面の真理を説く言葉も見受けられる。
血まみれの荒野だからこそ、そうした言葉の輝きもひと際増す。

マホの横でわめくモブキャラたち(著名な作家の元アシスタント)ですらこの悪顔。

マホの横でわめくモブキャラたち(著名な作家の元アシスタント)ですらこの悪顔。


単行本情報

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