『ヘルベチカスタンダード 絵』
あらゐけいいち KADOKAWA/角川書店 \780+税
(2014年11月22日発売)
2011年のアニメ化で人気を博し、今も「月刊少年エース」に連載中の『日常』の作者・あらゐけいいちによる、カラーマンガ&イラスト集。
表題作は「月刊ニュータイプ」や非売品の冊子「コミック通信」で連載している4コマ作品。
『日常』作中で登場人物が読んでいたり、アニメにも挿入されていたり、また本作にもたまに『日常』のキャラクターが登場したりと、そこはかとない連動感をもってファンの心をくすぐる。
内容的には『日常』以上に不条理でアナーキーな、超感覚的ユーモア作品で、絵や色使いのデザイニッシュな“あらゐズム”が満載。
毎回手書きのタイトルロゴや一口絵(あるときはキャラ紹介、あるときは作者の一口メモなど)、さらにはページ下のノンブルまで、1ページの中にこだわりが多く見られ、何度か読み返しては発見がある。
本巻では、表題作のほか、他の単行本に収録されていないカラーイラストを、作者本人が厳選して収録。『日常』のアニメやDVD・BRジャケット、その他雑誌や活字本の表紙などに描かれた絵は、テーマやタッチなどの多彩さもうれしい。
ちなみに、個人的には、作者が考えた人物、ジョン・マック・ウェアの人物伝や、小学生時代の昔話といった活字コンテンツのバカバカしさ(もちろんイイ意味で)が大好きだ。
ともかく、あらゐけいいちファンのみならずとも一度手に取ってほしい本であり、またぜひ「日常」の世界観とあわせて楽しんでほしい一冊である。
<文・藤咲茂(東京03製作)>
美酒佳肴、マンガ、ガンダム、日本国と陸海空自衛隊をこよなく愛し、なんとなくそれらをメシのタネにふらふらと生きる編集ライター。