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『オーク探偵オーロック』 円居挽(作) 碓井ツカサ(画) 【日刊マンガガイド】

2017/04/05


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『オーク探偵オーロック』第1巻


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『オーク探偵オーロック』第1巻
円居挽(作) 碓井ツカサ(画) KADOKAWA ¥580+税
(2017年3月4日発売)


19世紀末、ロンドン。一度見たら絶対忘れない能力を持つ少女ユナは、その力ゆえに英国国教会に閉じ込められていた。
町は殺人鬼・切り裂きジャックの話題で持ちきり。霧深き路地裏は不安に覆われていた。
ある日ユナは、なぜか教会の塔を登ってきたオークに連れ去られてしまう。


オークに姿を変えてしまった名探偵オーロックと、助手にさせられたユナの、世紀末イギリス探偵物語。頭脳明晰なだけでなく、腕力が人外なオーロックの無敵っぷりがすごい。


この作品は、オーロックの能力「無謬の推理(アブダクション)」の存在で、推理モノとしてはかなり異質なものになっている。
宣言した相手の可能性を変えてしまう力。たくさんの分岐した並行世界のルートを変える力だ。

ある青年が殺人鬼だった場合、「無謬の推理」を行った瞬間、彼が殺人鬼であるという可能性のルートは消失する(たとえ事実であっても)。
同時に推理に不都合な事実は、すべて修正される。記憶は書き換えられてしまう。
「殺人鬼がいた」という事実は変わらない。だから「別のだれか」が、殺人鬼である可能性が残ってしまう。

となると、目の前の人間が仮に殺人鬼だったとしても、相手に情を抱いて無謬の推理を行ってしまえば、どこまでいっても犯人が捕まらない。逆にそこで逮捕して終了することは簡単だが、その人が抱えた苦しみは救うことはできない。


オーロックとユナが探そうとしているのは、犯人ではなくて「目の前の人を救う力」。 罪を暴いて裁くことを優先しない、救済の物語だ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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