日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『背すじをピン!と ~鹿高競技ダンス部へようこそ~』
『背すじをピン!と ~鹿高競技ダンス部へようこそ~』 第10巻
横田卓馬 集英社 ¥400+税
(2017年4月4日発売)
青春競技ダンスストーリー、ついに完結!
ひょんなことからダンスを始めた雅春が、同じく初心者のパートナーと懸命に練習を重ねて半年が過ぎ……ここに白熱の全国大会、全試合が終了。
鹿高ダンス部唯一、ラテン部門にエントリーした八巻・椿ペアの気になる結果は!?
大会後、3年生ペアは部活を引退。2年生、そして雅春たちはこれからに向かって自覚を新たにするのだった。
さて、時は流れて物語は2年後へ……。
本巻では、最上級生となって後輩を引っぱる雅春の姿に出会える!
もちろん卒業した土井垣・綾辻ペア、八巻・椿ペアのその後も。
見た目は優雅でも相当にハードな競技ダンスのスピード感、パートナーと心を通わせて踊る楽しさが画面いっぱいにあふれる。
身体性や性格といったそれぞれの個性が演技ににじみ出るおもしろさもじっくりと味わえる本作。
主人公の雅春とパートナーの英里は先輩やライバルたちに比べ、見た目も地味なら性格もおとなしい。
しかし、優しさや堅実さがしっかりとひとつの魅力となって、このペアなりの表現をつくっていることに感動を覚える。
試合で勝ちたいのはもちろんだけど、自分と人とを比べるためにダンスをやってるんじゃない。
そんな初心を忘れないペアの輝きがリアルに感じられ、勇気づけられる気持ちになるのだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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