日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『約束のネバーランド』
『約束のネバーランド』 第3巻
白井カイウ(作) 出水ぽすか(画) 集英社 ¥400+税
(2017年4月4日発売)
母と慕う彼女は親ではない。
ともに暮らす彼らは兄弟ではない。
小さな孤児院・グレイス=フィールドハウス(GFハウス)は年齢・性別も異なり肌の色さえも多種多様な38人の孤児たちを擁する孤児院だ。
子どもたちの世話をする優しい“ママ”ことイザベラのもとで、天真爛漫なエマ、頭脳派のノーマンそして皮肉屋だが天才肌のレイの3人は、11歳の“年長組”として幸せな日々を送っていた。
彼らの平穏な日常は、里親が決まって孤児院を去ることが決まった少女コニーを追って孤児院の外に出た瞬間に終わる。
哀れなコニーは殺されて異形の食人鬼に“食料”として出荷されてしまったのだ。
“かわいい子どもたちの大切な居場所が鬼に食べられるまでの飼育場だった”というセンセーショナルな出だしで読者の注目を集め、
2月の月間ランキング オトコ編で第1巻がいきなりランクインを果たした『約束のネバーランド』が早くも第3巻。
食人鬼たちの手先として孤児たちを管理するイザベラから脱出をこころみる少年・少女たちの、息づまる心理戦が描かれるこのマンガ。
その後、第2巻そして最新第3巻と、どのような展開になるかというと……。
“イザベラの部下として出世欲の強い黒人女性・クローネが登場したこと”
“子どもたちのなかに内通者がいたこと”
“GFハウスの外にも彼らの味方(になるかもしれない存在)がいること”
ぐらい!!
クローネがどんな思考で行動するのか? 内通者はだれなのか? 味方がいることの証明は?
そのどれもが話せばネタバレの域に入ってしまうのだ。
これ以上なんもいえねえ……。
第2巻で判明したいくつかの謎に対してエマたちは、脱出のための手がかりをつかむとともに、イザベラも彼らを逃がすまいと狡猾なワナを張りめぐらせる。
読めば読むほど希望と絶望が目まぐるしく入れ替わる展開にページをめくる手が止まらない!
昨今のいわゆる“「ジャンプ」流”には見られない心理描写とロジカルなネームは、読み飛ばすとすぐに置いていかれる可能性大なので要注意。
幕間の描き下ろしイラストには、モブキャラの一覧ほか、物語のヒントになる情報も掲載されているとのこと。
コミックスだけの“お楽しみ”までも、ゆっくりお楽しみいただきたい。
<文・富士見大>
特撮のあれこれやマンガのあれこれに携わる編集・ライター。ただいま絶賛発売中!! の「俺たちの仮面ライダーシリーズ 電王 10th ANNIVERSARY」と、昭和特撮の秘話がたっぷり掲載の「特撮の匠 昭和特撮の創造者たち」にも参加しています。