人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。
今回お話をうかがったのは、河原和音先生!
「彼氏がほしい!!」
“高校生になれば自然と彼氏ができる”と思っていたのに、まったくその気配がない主人公・小桜ののかが、彼氏をつくるべく奮闘する姿が、ハートフルに描かれている『素敵な彼氏』。
ドキドキが止まらないふたりの距離感を描いた本作は、10代にかぎらず、多くの読者からの共感を呼び、「このマンガがすごい!2017」オンナ編の17位にランクイン。
今回は、『高校デビュー』、『青空エール』(どちらも集英社)と前向きで一生懸命な女子高生を主人公にしたマンガを描きつづける河原和音先生に、本作のテーマや先生にとっての“素敵な彼氏”像などについて、お話をうかがいました!
ののかと一緒に、“素敵な彼氏”って何かを探すマンガです
――まずは『このマンガがすごい!2017』オンナ編17位ランクイン、おめでとうございます。
河原 ありがとうございます! 読んだ方におもしろいと思ってもらえるのが、マンガを描いていていちばん幸せなことなので本当にうれしいです。また、ランクインをきっかけに読んでくださった方もいらっしゃると思うので、それについてもありがとうございました。
――『青空エール』の連載終了後、すぐに新連載開始でしたが、アイデアは以前から温められていたのですか?
河原 いえいえ、その逆です。じつは全然違うお話でネームを出したりもしたんですが、担当さんがピンとこない感じで。「もっとわかりやすくてテンポがいい話のほうががいいのかな?」と、10ページぶんくらい描いてみたのが、この『素敵な彼氏』なんです。
その方向でOKもらった時点で残り1カ月をきっていたからか、謎のプレッシャーを感じてしまい、人生で初めて「できないんじゃないか……」という不安に陥りました。
そんな時、担当さんが支えて下さったり、たまたま時間の空いてた目黒あむちゃんに手伝ってもらって、なんとか1話目ができて、ホッとしたみたいな、そんな温めていた期間のまったくないマンガです。
――そんな苦しみのなかから連載が始まって、読者からの反響はいかがでしたか?
河原 「共感できる」という感想が多くてうれしかったです。“等身大ラブコメ”みたいなのを描こうと思ってはじめてみたので。
あと、これは担当さんが教えてくれたんですが、『桐山が〇〇に似てる!』とよくいわれていた様子です(※〇〇にはいろんな名前が入ります)。
――そうなんですか?私のまわりには残念ながら桐山くん似の男性はいないですよ……(笑)。
ちなみに、タイトルを『素敵な彼氏』にされたのはなぜですか?
河原 “素敵な彼氏”ってなんだろう……という哲学的な気分と、「すてき」というフレーズがよいなと思って。でもじつは、タイトルを考えるのは苦手なんです……。
――なるほど。河原先生が考える、“素敵な彼氏”って、どんな彼氏でしょうか? やっぱり桐山くんのことですか?
河原 模索中です。
ただ、必須要素として、「自分のことを好きでいてほしい」というのはありますね。
このマンガのなかでは、ののかから見た桐山のことを指してると思います。桐山をとおして、ののかなりに「素敵な彼氏って何か」を見つけていければいいなと思いますね。
――主人公・小桜ののかのキャラクターづくりで、こだわっていることはありますか?
河原 ののかは、あんまり個性をとがらせないで、普通な子にしたいと思いました。モノローグに、あんまり難しいいいまわしや熟語を使わないようにしています。理屈っぽくならないように気をつけてるんですけど、難しいです。
――ののかは普通っぽくて、でも素直で前向きで一生懸命で、応援したくなります。最初の印象が悪かった桐山のいいところをどんどん見つけていけるのも、ののかのいいところですよね。
一方、桐山の幼なじみで前カノのエリハは、インパクトの強いキャラクターですね。彼女の誕生秘話などはありますか?
河原 エリハは、斎藤和義さんの『ずっと好きだった』を聴いていて、この歌に出てくるような女子にナチュラルになる女子……ではなくて、そうなろうと計算する女子ってどうかな? というところからつくっていきました。
――「10年後の同窓会で『ずっと好きだった』とか『昔いいと思ってた』とかいわれたいの!!」というセリフも出てきましたね(笑)。将来、「俺たちのマドンナ」として思い出されることを計算して仕込んでおくJKって、てごわすぎます(汗)。ののかには、計算やかけひきがないので、本当に対局のキャラクターですね。
――第1巻で、ののかはクリスマスよりも年越しのカウントダウンイベントに全力でしたが、河原先生にとって、欠かせないイベントなどはありますか?
河原 イベントって、大切にしてる・してないも、ウエイトのかけ方も人それぞれなので、お互いを知るきっかけのひとつとして大切なのかなと思います。
私の大事なイベントは、子どもの時の誕生会と、思春期の頃のバレンタインデーかなぁ。小さい頃からイベントが好きで、親に誕生会をやってもらったのがすごく幸せだったから、今も誕生会をやりたくてしかたないんです。自分の子じゃない子の誕生会もやろうとするくらい(笑)。
あと、学生時代のバレンタインデーは、もうホント自意識過剰で全然うまくやれなくて、黒歴史もいいとこですけど、いまとなってはいい思い出ですね。
――河原先生の黒歴史、とっても気になります(笑)!
『素敵な彼氏』を描いていて楽しいのはどんな点ですか? 逆につらいことはありますか?
河原 主人公が気楽なので、描いている時もとても気楽です。全体的に楽しんで描いてます。
つらいことも、1話目がなかなかできなかったこと以外は今のところないです。
――ののかが桐山くんとのデートを心から楽しんでいるシーンなど、読んでいてほほえましくなってきちゃいます! いままで、10代や高校生の恋愛を描き続けてきた河原先生ですが、繊細で多感な高校生の恋愛をテーマにすることへの難しさはありますか?
河原 やっぱり今の10代のリアルとはズレもあるんだろうな……と感じたりはします。それをどこまで気にするべきか、たまに悩んだりしますが……でも結局、楽しく描いてます。
――なるほど。それでは河原先生から、青春真っ盛りの恋する女子たちに大切にしてほしいことや、アドバイスがあればぜひ教えてください!
河原 10代、私自身は全然だめだめだったので、偉そうなことはいえないのですが、うまくやれなくても全然ありだし、みんなそんなもんだと思うから、大丈夫です!
あと、自己評価が低すぎる女の子や、高すぎる男の子は、失敗することが多いらしいので、そこらへんを意識してがんばってください!
大人になればネタになるので(たぶん)、楽しんでください~~。ぜひぜひ~~。
取材・構成:藤咲茂(東京03製作)
■次回予告
次回のインタビューでは、河原先生が生み出してきた数々の男性キャラクターの誕生秘話や、河原先生が選ぶ、彼氏にしたいキャラクター、そして待ちに待った最新第4巻の見どころなどをお聞きしちゃいました!
インタビュー第2弾は、6月24日(土)公開予定です! お楽しみに!
河原和音先生の『素敵な彼氏』も紹介している
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