話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『このマンガがすごい! comics Black Flower 関東連合のいびつな絆』
『このマンガがすごい! comics Black Flower 関東連合のいびつな絆』 第2巻
柴田大輔(作) 大島保(脚) 山根聖史(画) 宝島社 ¥590+税
(2017年6月24日発売)
かつて『関東連合』という伝説のグループが存在した。
関係者がたびたび事件を起こしたこともあり、ニュースやワイドショーでその名を目にした方も多いだろう。しかし、名前は知っていてもその実態について詳しく知っている人は少ないのではないだろうか?
「ただの不良の集まりなの?」「暴走族やヤクザとは違うの?」「そもそも半グレってなに?」
「実話ナッ●ルズ」や「月刊●イゾー」の愛読者ならともかく、一般の認識では関東連合=「おっかない人たちの集団」という認識がせいぜいだろう。
そんな知られざる裏社会の舞台裏や、当時の空気を伝えるべく、元関東連合メンバーである原作者が筆を執って誕生したのが、手記『いびつな絆 関東連合の真実』だ。そして今回は、本作をベースにコミカライズ化された、『Black Flower 関東連合のいびつな絆』を紹介したい。
関東連合とはどういう集まりだったのか? どのようにして彼らは関東最強のアウトロー集団に成り上がり、そして最悪の結末「六本木クラブ襲撃事件」に突き進んでいったのか? 彼らの間にあったのは友情か絆か、それともただの利害関係か? マンガという媒体を通じて、関東連合という闇に包まれた存在に、今スポットライトが当てられる!
物語の中心となるのは、トップの見立田真一(みたてだ・しんいち)を始めとする関東連合の面々。注目すべきはこの関東連合という組織の特殊性だ。
従来この手のグループのメンバーは、高校を卒業するタイミングに合わせて引退して社会に溶けこんだりするものなのだが、関東連合は別だった。彼らは成人後も組織に所属し力を誇示し続け、さらに芸能界やスポーツ界とコネクションをつくり、自分たちの行動をそのまま経済活動に結びつけるという、まったく新しいスタイルを生み出した集団なのである。
新刊の第2巻では、いかにしてそのようなスタイルがつくりあげられたのかが描かれている。
1996年の年末、特攻服で街を練り歩いていた関東連合は、当時の渋谷・世田谷一帯を仕切っていた“渋谷のK”と出会う。
彼から仕事を紹介されることで、関東連合は組織として肥大化。さらに、数年後にはKから独立し、わが世の春を謳歌するのだが、そううまくはいかないのは、物語冒頭で描かれるクラブ襲撃シーンでも明らかだ。
その破滅へ向かうきっかけとなってしまうのが、Kの元付き人であった金山である。
この金山、ステロイドとトレーニングとマンガをこよなく愛する古きよき不良。自らケンカ最強を豪語し、バーで見立田に向かってこのように語る。