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『はじめてのひと』 第2巻 谷川史子 【日刊マンガガイド】

2017/06/24


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『はじめてのひと』

  
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『はじめてのひと』 第2巻
谷川史子 集英社 ¥419+税
(2017年5月25日発売)


いわゆる“はじめてのひと”は、2回目以降の人とはある意味で決定的に違っていて、比較対象ではなく絶対的な存在になってしまう。
そう考える人とそうでない人がいて、そんなに深刻に考えないほうが精神衛生上は健全な気がするけど、でも思いつめてしまうことはあるかも知れない。

本作の第1巻で、自分の“はじめて”をそんなに好きでもない相手と過ごしてしまったことを気に病んでいた女性は、ほかの、もっと大事な“はじめて”を与えてくれる人を見つけて、これから幸せになっていくんだろうなあと思わせてくれた。
だいぶボカして書いてしまったけど、そういう繊細な話。

ほかにも、相手のかけがえのなさを認めつつ、だからこそちょっと胸が痛む、みたいなエピソードを連作短編の形式で読ませてくれたのが第1巻だった。
しかし、こんどの第2巻はちょっと難しい。
第1巻の終盤に収録された2つのエピソードで描かれた、年上のチェリストに久しぶりの恋をする女の子“与(くみ)ちゃん”の話が、第2巻では長編的に展開されているが解決しない。
2人の関係がどうなるかは第3巻を待ってね! っていう。

“恋の始め方”も忘れていたくみちゃんが、大人の余裕をみせるチェリストの諏訪内さんの魅力に惹かれていくドキドキと不安が伝わってきてせつないし、応援したくなる。
さすが谷川史子。
くみちゃんも諏訪内さんも爽やかで明るくて、互いを気づかって、読んでいて優しい気持ちになる……って思っていたのに! まさかの暗雲が到来してしまう。
具体的に書くとネタバレになっちゃうけど、まあ、うん、そうね、若干あるあるだよね……っていう……。

いい出せなくなっちゃったっていう諏訪内さんの気持ちはわからないでもないけど、イカンよそれは……。
くみちゃんがせつなすぎる。ダメ絶対。
2人には幸せになってほしいから怖いけど、第3巻が待ち遠しい!



<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
Twitter:@nnnnnnnnnnn
Twitter:@n11books

単行本情報

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