ミステリドラマファンのみなさま！　お待たせいたしました!!
いよいよ大人気ドラマ、新シーズン「SHERLOCK 4」が放送開始となります！
……が、その前に……なんと、7月にはNHKで「シャーロック・ホームズ130」と題し、数々の"ホームズ祭り"が行われるとの情報が！
そこで今回は、シャーロック・ホームズ研究の第一人者として、さまざまなホームズ関連の著作を多数発表している作家で、今回の番組にも多方面から協力している北原尚彦さんに、「シャーロック・ナイト」を120％楽しむための見どころやポイントについて、ご紹介いただきました！

ホームズ登場から130周年――
NHK特別企画「シャーロック・ホームズ130」

2009年のガイ・リッチー監督映画『シャーロック・ホームズ』、2010年スタートのBBCドラマ『SHERLOCK／シャーロック』以降、大いに盛り上がり続けている名探偵シャーロック・ホームズ。2017年は、『緋色の研究』(1887年)での初登場から、130周年という記念すべき年だ。
そんな年の夏、ＮＨＫでは「シャーロック・ホームズ130」と銘打って、シャーロック・ホームズのスペシャル企画番組が立て続けに放送される。

シャーロック・ホームズの魅力を深掘り！

「乾杯シャーロック・ホームズ」は、シャーロック・ホームズの魅力について、キーワードとともに語る番組。6月24日の放送では、青山剛昌（『名探偵コナン』原作者）・三谷幸喜（人形劇『シャーロックホームズ』脚本）・茂木健一郎（脳科学者）が登場し、話題を呼んだ。特に『名探偵コナン』クラスタの間では、大騒ぎになっていたようだ。放送ずみだが、7月3日にBSプレミアム、7月8日に地上波で再放送も予定されている。

ホームズの最高傑作について語りあう！

7月5日には、BSプレミアムで「シリーズ深読み読書会 シャーロック・ホームズの最高傑作!? バスカヴィル家の犬」が放送予定。『バスカヴィル家の犬』は、シリーズ最高傑作とも言われる長編。新本格系の推理作家・綾辻行人と有栖川有栖、小説家の島田雅彦、女優の鈴木杏、美術研究家の橋本麻里が出演し、本作を深く掘り下げるという。これらの面々がかの名作をどう読むか、じつに興味深い。

モリアーティ相手に謎解きを！

そして7月8日は「シャーロック・ナイト」。シャーロック・ホームズ関連番組がBSプレミアムにて、4時間半ぶっ続けで放送されるという、お祭り騒ぎだ。

19時からは「謎解きLIVE『CATSと蘇ったモリアーティ』」（事件編）。2013年から2016年までに5回放送され、好評を博した「謎解きLIVE」の最新作である。前作『CATSと聖夜の殺人者』で活躍した推理倶楽部CATSメンバーが、ＡＩとして蘇ったモリアーティ教授の突きつける謎に挑む、という趣向だ。モリアーティ教授とは、もちろんシャーロック・ホームズの宿敵たる犯罪王だ。CATSメンバーは、はたして、この巨大な敵に立ち向かえるのか。
シリーズ過去作では、ジョイ・スウィフト、麻耶雄嵩、我孫子武丸、綾辻行人、大山誠一郎が原作者を務めてきた。そして今回は趣向を変えて、ゲームクリエイターのイシイジロウ。そしてAIモリアーティを敵に設定するだけでなく、シャーロック・ホームズの要素を盛り込むため「シャーロック・ホームズ作品監修」として、わたくし北原尚彦が起用された――という次第である。

謎解き番組なのであまり多くを語るわけにはいかないが、これまで公開された情報を総合すると、CATSのみそっかす（？）である弁護士・真東一成のところへ、『殺意のバスカヴィル館』なる謎解きイベントの特別リハーサル招待状が届いた。どうやら真東が、CATSメンバー――安芸朔太郎・朝永日向・有馬大和――とともにそこへ向かったところ、何かが起こる……のである。

わたくし北原も監修者としてこのロケに参加。そして――ほんのわずかながら、出演も。ほとんど『キタハラをさがせ！』状態だが、わたしの顔を知っている方は、謎を解きながら、キタハラ探しもしてみていただきたい。
ストーリーに関わるため詳述できないが、シャーロック・ホームズの正典ネタを、これでもかと導入した。あちらこちらでニヤリとしていただければ幸いである。
出演者も超豪華。安芸朔太郎役は『仮面ライダーウィザード』の白石隼也。『獣電戦隊キョウリュウジャー』の塩野瑛久も出演。特撮ファン必見だ。
新日本プロレスの田口隆祐、元AKB48の山本亜依も出演するので、プロレスファン、アイドルファンもぜひ。

ホームズとワトソンのヒミツが明かされる!?

「謎解きLIVE』（事件編）のあと、シンキングタイムも兼ねて、20時5分ごろからは「ホームズとワトソンのただならぬ夜」を放送。ホームズの推理力のすごさ、ワトソンの役割、ホームズの推理術などについて語られるトークバラエティー。芸能人たちに混じって、ホームズ翻訳家・日暮雅通の出演も予定されている。『シャーロック・ホームズの思考術』の作者、マリア・コニコヴァへのインタビューも。いったい何がどう「ただならぬ」のか……じつに楽しみである。

「モリアーティ」の謎の真相は21時35分頃から！

そして21時35分頃からは「謎解きLIVE『CATSと蘇ったモリアーティ』」（解決編）。この番組は、視聴者参加の双方向性が売りなので、ぜひとも謎解きに挑戦し、締め切りまでにぜひご参加を。 　またこの番組は「プレミアムメンバー試験」として、事前に別途謎解きが公開されている（http://www.nhk.or.jp/nazo/mori/examination/）。こちらもホームズ要素たっぷりである。

現代版ホームズのドラマを待ちわびた方へ

22時からは締めくくり、BBCドラマ『SHERLOCK 4』。大人気シリーズの最新シーズン、いよいよ登場だ。この日放送される第一話は「六つのサッチャー」。タイトルから容易に想像のつくどおり、「六つのナポレオン像」（『シャーロック・ホームズの生還』所収）がベース。ナポレオン像ならぬサッチャー元首相の像が破壊される事件の真相とは……。『SHERLOCK 4』は7月15日に第二話「臥（ふ）せる探偵」、7月22日に「最後の問題」が放送される予定。 　では最後に、シャーロック・ホームズお得意のセリフを。「ザ・ゲーム・イズ・アフット！」 （「シャーロック・ホームズ130」）

お祭りの準備をしたい方へ

暑い夏の熱い夜、「シャーロック・ナイト」でピークを迎える「シャーロック・ホームズ130」。宝島社SUGOI文庫から刊行されたばかりの、『シャーロック・ホームズ 秘宝の研究』（北原尚彦）では、『SHERLOCK』関連書籍をはじめ、さまざまなホームズ・アイテムを紹介している。ぜひ、このタイミングでお読みいただきたい。また、正典（コナン・ドイルのホームズ物60篇）を全部読んでいない、読んだけれどもちゃんと覚えていない、という方は『シャーロック・ホームズ完全解析読本』（宝島社）で準備をしてからご視聴いただくとよいだろう。

『シャーロック・ホームズ　秘宝の研究』
宝島社 ￥690+税
（2017年6月24日発売）

『シャーロック・ホームズ　完全解析読本』
北原尚彦（監修）　宝島社 ￥1200+税
（2016年2月19日発売）

文：北原尚彦