365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
8月3日はハサミの日。本日読むべきマンガは……。
『アイツとカノジョと魔法の手』 第1巻
しばの結花 小学館 ¥429+税
本日8月3日は「ハサミの日」。
美容家の山野愛子さんが「ハサミ供養」を提唱し、1977年に制定されたという。
同日には美容師や理容師といったハサミを扱う美容関係者たちが、午後3時に「ハサミ供養」を行い、日頃の感謝の気持ちを表すのだとか。
そう、ハサミは美容師・理容師たちにとっては、まさに「命」のようなものだ。
彼らはハサミを軽やかに扱い、人々の美しさを引き出している。
その技術はまるで魔法のようで、鏡越しに惚れぼれしてしまうことすらある。
しかし、それを身につけるまでの道のりは、生半可なものではない。
『アイツとカノジョと魔法の手』は美容師を目指す若者たちの姿を描いたマンガだ。
主人公・アイコは、「美容師になる」という夢を胸に単身上京し、専門学校に通う女の子。
同じ夢を持つ仲間たちとともに、日々勉強に明け暮れている。
そんなアイコには、地元に残してきた彼氏・慎太郎がいる。彼は大学受験に失敗し、浪人中。
夢に向かって邁進するアイコと、やりたいことが見つからず浪人生としてくすぶった毎日を送る慎太郎。その対比によって慎太郎の苦悩が伝わってくる一方、アイコの心苦しさも痛いほど感じられる。
そんななか、突然訪れる2人の別れ。
慎太郎は「実家のパン屋を継ぐ」という夢を見つけ、東京で活躍したいアイコに対し「未来が見えない」と終わりを告げるのだ。
夢か恋か――。
そのどちらを選べばいいのかなんて、だれにもわからない。
いや、大人の目線でいうと、「10代の頃の恋愛に振りまわされるなんてバカげている」という見方もあるだろう。けれど、当の本人たちは本気だ。
むしろ、打算や妥協を知らない分、大人よりも純粋に相手を想っているといえるかもしれない。
それでもアイコは夢を選んだ。
その選択の裏には、狂おしいほどの葛藤があっただろう。
けれど、美容師になりたいとハサミを手に取ったアイコの決心は、相当なものだ。
その失恋を機に、アイコはさらに夢と向きあうようになっていく。
はたして彼女がどう成長していくのか。美容師の卵たちの青春を追いかけてもらいたい。
<文・五十嵐 大>
83年生まれの、引きこもり系フリーライター。デスゲーム系やバトルもの、胸キュン必至の恋愛マンガやBLまで嗜む、マンガ好きです。マイブームは、マンガ飯の再現。