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ドラマ『ハロー張りネズミ』レビュー! 「島耕作」シリーズ作者・弘兼憲史の名作が現代によみがえる! 2017年の下赤塚でも“張リ寝ズ視”!!【あのアニ】

2017/08/04


「あの話題になっているアニメの原作を僕達はじつは知らない。」略して「あのアニ」。

アニメ、映画、ときには舞台、ミュージカル、展覧会……などなど、マンガだけでなく、様々なエンタメ作品を取り上げていく「このマンガがすごい!WEB」の人気企画!
そう、これは「アニメを見ていると原作のマンガも読みたいような気もしてくるけれど、実際は手に取っていないアナタ」に贈る優しめのマンガガイドです。「このマンガがすごい!」ならではの視点で作品をレビュー! そしてもちろん、原作マンガやあわせて読みたいおすすめマンガ作品を紹介します!

今回紹介するのは、ドラマ『ハロー張りネズミ』


サラリーマンの立身出世大河“島耕作シリーズ”の生みの親といえば、ご存じ弘兼憲史。その弘兼が1980年より「週刊ヤングマガジン」で連載を開始したのが『ハロー張りネズミ』だ。東京北部の下赤塚でくすぶる「あかつか探偵事務所」を軸として、人情ドラマからホラーまで、ジャンルレスのエンタメ作品として人気を博した。その“ハロネズ”が今夏、1989年の連載終了から28年の時を経て連続ドラマ化を果たした。

寝ずに相手を尾行=“張リ寝ズ視” することからハリネズミの異名を持つ「あかつか探偵事務所」の探偵・七瀬五郎役を瑛太が務めるのを筆頭に、謎めいたヒロインの四俵蘭子(しだわら・らんこ)を深田恭子が、豪快な大酒呑みの所長・風かほるを山口智子が、それぞれ演じる。余談だが1991年の映画版で五郎を演じたのが山口の夫・唐沢寿明。四半世紀の時を超え、同じマンガ作品の実写版に夫婦で出演するというのも不思議な縁だ。

瑛太さん演じる五郎。こんなイケメンなら“張リ寝ズ視”されたい!?

瑛太さん演じる五郎。こんなイケメンなら“張リ寝ズ視”されたい!?

脇を固める布陣も豪華絢爛。美人霊媒師・河合節子を蒼井優が、サンライズ出版の南をリリー・フランキーが演じる。また、五郎たちの憩いの場となっているスナック「輝」の看板娘・萌美役に抜擢された片山萌美のナイスバディからも、文字どおり目が離せない。

脚本と演出は『モテキ』でおなじみの大根仁。映画『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』の公開が今秋に控えるなど、脂の乗り切った映像監督だ。瑛太とは2013年のドラマ「まほろ駅前番外地」でもタッグを組んでおり、相性のよさは折り紙つき。ちなみに深夜帯の帝王である大根がゴールデン・プライム帯ドラマの脚本・演出を手掛けるのは本作が初である。

てなわけで始まったドラマ版ハロネズ。五郎の髪型はツンツンスタイルではなく、チョンマゲ仕様に変更されている(シルエット的ではハリネズミに見えないこともない?)。また原作の五郎は25歳設定だったが、瑛太は現在34歳と約10歳の年齢差が。これに対応して所長の年齢設定も28歳から大幅に引き上げられた(山口は52歳)。

冷静に考えれば、携帯電話自体がごく最近のもの。現代版ならではの演出なのだ。

冷静に考えれば、携帯電話自体がごく最近のもの。現代版ならではの演出なのだ。

のっけから爆乳の萌美にちょっかいを出しまくるなどスケベ丸出しの五郎。それでも探偵としての勘だけは鋭く、だれも引き受けたがらない厄介な依頼を解決していく。電子タバコを愛用するなど2017年版アレンジも随所に。下赤塚という庶民的な街を舞台に、大人の俳優たちが粋なセリフの応酬を披露するギャップも楽しい。そこにSOIL&”PIMP”SESSIONSのジャズサウンドが重なることで、泥臭くも軽妙洒脱な唯一無二のグルーヴが生まれている。

原作へのリスペクトを忘れず、かといってとらわれ過ぎず、遊び心満載の大根演出で贈る大人のドラマを、どっぷりと堪能しよう!

ドラマ『ハロー張りネズミ』を観たあとに……

今回、ドラマ『ハロー張りネズミ』をさらに楽しみたいアナタに、読んでほしいマンガ作品を紹介しちゃいますよっ。

『ハロー張りネズミ』 弘兼憲史

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『ハロー張りネズミ ベストセレクション』 第1巻
弘兼憲史 講談社 ¥848+税
(2012年12月)


東京・板橋の下赤塚駅からほど近い場所に事務所を構える「あかつか探偵事務所」に所属する七瀬五郎と仲間たちが、次々と舞いこむ厄介な依頼をドタバタと処理していく探偵物語。
連載当初まだ30代だった弘兼憲史が、人間ドラマの感涙作からオカルト、SF、時代劇まで、いろいろなことにチャレンジして漫画家としてのステップアップを目指した作品。「あかつか探偵事務所」に所属する木暮久作は、島耕作シリーズでも活躍している。

原作マンガのほかに、このマンガもおすすめ!

『黄昏流星群』 弘兼憲史

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『黄昏流星群』 第1巻
弘兼憲史 小学館 ¥485+税
(1996年6月)


1995年より「ビッグコミックオリジナル」でスタートし、現在まで続く長寿シリーズ。タイトルは“老いゆく過程で光り輝く”という意味。
高齢化社会を見すえ、マンガ作品としてはマイナーだった熟年層の恋愛にあえてスポットを当て、老人同士のベッドシーン描写も辞さない野心的な作品。『ハロー張りネズミ』で培ったサービス精神旺盛な弘兼スピリッツは衰えず、人情劇や愛憎劇のみならず、ホラーやSF的な超展開も多々見られる。

ドラマ情報:『ハロー張りネズミ』

■放送情報
2017年7月より放送開始
TBS:毎週金曜22:00~

■CAST
七瀬 五郎:瑛太
四俵 蘭子:深田恭子
木暮 久作:森田 剛
スナック「輝」マスター:中岡創一(ロッチ)
スナック「輝」萌美:片山萌美
片桐:矢島健一
河合 節子:蒼井 優
南:リリー・フランキー
風 かほる:山口智子
ほか

■STAFF
原作:弘兼 憲史「ハロー張りネズミ」
(講談社「ヤングマガジンKC所載」)
脚本/演出:大根 仁
音楽:SOIL&”PIMP”SESSIONS
プロデュース:
韓 哲
市山 竜次(オフィスクレッシェンド)
製作:
オフィスクレッシェンド
TBS

■公式サイト
http://www.tbs.co.jp/hello-harinezumi/

■公式twitter
@hello_hrnzm



<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。

単行本情報

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