365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
8月8日はソ連のゲオルギー・マレンコフ首相がソ連の水爆保有を公表した日。本日読むべきマンガは……。
『飛ぶ教室』 第1巻
ひらまつつとむ 復刊ドットコム ¥1,600+税
今から64年前、1953年8月8日は、ソ連のゲオルギー・マレンコフ首相がソビエト連邦最高会議での演説にて、水爆保有を明らかにした日だ。
1952年に人類初の水爆実験を行ったアメリカに対抗する形でソ連は水爆保有をはじめ、両国の格兵器開発競争は、第二次大戦後の冷戦のなかで加速の一途を辿っていった。
そんな冷戦の終盤である1985年に発表された『飛ぶ教室』は、核戦争が勃発したあとの日本を生きる小学生たちの姿を描いた作品だ。
小学校の核シェルターにたまたま居あわせたことで難を逃れた主人公・オサムをはじめとする子どもたちが目撃したのは、死体が転がる崩壊した東京。 絶望的な死の世界で彼らに襲いかかる受難は、描写もあいまって非常にハードだ。 そんななかでも、笑顔を絶やさず生き抜こうと努力する子どもたちの健気さは、読んでいる人間の涙を誘う。
核戦争後の世界を描いた作品は数あれど、そのなかでも埋もれない魅力を放つ本作。アメリカに続く、新たな水爆保有国が誕生した今日という日に、ぜひ読んでいただきたい。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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