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『出口ゼロ』第6巻 瀬田ハルヒ 【日刊マンガガイド】

2014/11/03


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『出口ゼロ』第6巻
瀬田ハルヒ 講談社 \463+税
(2014年10月10日発売)


女優を目指し、名門俳優養成所「D・A(ダイヤモンド・アクターズ)・アカデミー」に入学した15歳の赤羽夕日。しかし、そこで待っていたのは恐怖が支配する学園生活だった!
全寮制で、まさに監獄のようなアカデミーを出るにはデビューか退学かの二択のみ。といっても退学処分となった生徒は人格を破壊されるという運命を逃れられないらしく……!?

日々の課題はほとんどサバイバル訓練だ。
「与えられた役を演じながら生活する」という課題が出されれば、学生寮以外の場所では必ずその役柄として振る舞わなければならない。素の自分を出したり、役に合わない言動をするなどのミスをおかせば“ライフ”と呼ばれるポイントが奪われる。
そして、アカデミーではライフがゼロになれば、即退学となってしまうのだ。

自分のライフを守るには、他人を蹴落とすのも致し方ないという状況下、“レディ・クイーン”と名乗る講師は生徒同士のつぶしあいをけしかけることさえある。
そんななか、夕日はだれも脱落することなくアカデミーを卒業できるよう、仲間たちと協力しあって課題に立ち向かう。

現在、夕日たちがチームで取り組んでいるのは“絶対服従の人生すごろく”。人間がコマになり、マスに書かれた指令に従わなければならないというものだ。
なんとドクロのマスに止まったチームは、時限爆弾つきの棺桶に入るメンバーを決めるはめに。こうなるとほとんど少女マンガ版『カイジ』の様相。掲載誌が「なかよし」とは思えないほどの過激なスリル、心理戦、頭脳戦の駆け引きから目が離せない。

前向きで仲間思い、ちょっとむこうみずだが勇気あふれる夕日のキャラクターは、閉塞感のある舞台をぐいぐい引っぱる威力抜群。天才女優でもあるレディ・クイーンの狂気を帯びた描写も、ときに恐ろしく、ときに遊び心満載。
見どころの多い要注目作である。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」

単行本情報

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