『バーナード嬢曰く。』第2巻
施川ユウキ 一迅社 ¥619+税
(2015年7月27日発売)
本を読んでいる人は、なんというかこう、かっこいいよね!
なんてことを考えている自称・バーナード嬢(通称・ド嬢)こと町田さわ子が、「いかにして本を読まずして読書家っぽくかっこよく見せるか」努力する。明らかに努力の方向を間違っている。
出てくるキャラクターは、みんな読書家だ。しかし読み方はそれぞれ違う。
SFマニアで、読み方に美学を持っている神林しおり、筋金入りのシャーロキアンで、翻訳にはちょっとうるさい図書委員の長谷川スミカ。
お互いに感じているのは「マニアはメンドクサイ!」。好きなものに入れこんだ人の趣味語りは大抵そんなもんです。
実在する本をネタに、「読書あるある」を描いた短編集がこのマンガ。
2巻目では、人間関係に大きな動きが起きる。
ド嬢の「読まずしてかっこつけたい!」という姿勢は、基本変わっていない。それをまじめな読書家である神林が嫌い、「ふざけるな!」とツッコむのも変わらない。
ところが神林がどんなにド嬢を嫌っても、天真爛漫に彼女が懐いてくるものだから、いつの間にか2人はすっかり仲よしに。今や親友だ。
たとえば、ジョン・スタインベックの『怒りの葡萄』をネタに「笑顔のみかん」と称して自分と神林の笑顔を描いたみかんの写メをド嬢が送ってくる。クスクスと神林は笑う。
ド嬢はいつものように、図書室では「おすすめのSF教えて!」と駆け寄ってくる。
彼女たちが普段、どんな友人関係を築いているかはわからない。ただ本好きの面々が、図書室で育んだ友情は特別。
なんせ、自分が「好きなもの」をさらけ出した状態で、仲よくなるのだから。
長谷川と神林は、お互いを「マニアでメンドクサイ人だなあ」と最初は思っていた。でもいざ話してみたところ、今やすっかり仲よしだ。
図書室に集う彼女たちの仲をつないでいるのが、一番本を読んでいないド嬢。
神林は彼女を「純粋」と称している。
知ったかぶりで、実際は空っぽな彼女は、いうなれば真っ白なノート。いろいろな読書家のこだわりも、喜びも哀しみも、すんなり受け入れる。
でも、本は読んだふりじゃなくて、ちゃんと読もうね。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」