『IS ~男でも女でもない性~』第1巻
六花チヨ 講談社 ¥400+税
本日8月27日は、おそらく「このマンガがすごい!WEB」をご覧になられている方たちの間では、数々のマンガ実写化作品でヒロインを演じたことで特に知られているであろう剛力彩芽の誕生日。
……って、なんかヤな顔してる人! それは世間の風評に踊らされていませんか?
たしかに、もしかしたら彼女が演じた役のなかには、原作のイメージと違うものもあったかもしれませんが、べつにキャスティングに関しては彼女に非があるのではないし、それぞれの役で全力で演技をしていたのは疑いようもないこと。
それを彼女ひとりが悪かったように言うのは、少々短絡的なんじゃあないかと思ったりするワケです。
まぁ、悲劇の原因は「イメージに合ってないキャスティングをされる」という点にあることは明確なので、今日はそんな彼女が演じたなかで「これはいい実写化!」と自信を持って推せる『IS ~男でも女でもない性~』を、原作、ドラマあわせてご紹介。
タイトルになっている「IS(アイエス)」とは、インターセクシュアル (intersexual)……平たく言えば「両性具有」のこと。本作はそんな、身体的に持つ2つの性の間で揺れる思春期の少年少女たちをシリアスに描いたもの。念のために言っておきますが、決して「“ふたなり”モノのラブコメ」などではないのでご注意。
原作は「ヒロミ」「竜馬」という2つの短編を経て、長編「春」が単行本第2巻から17巻(最終巻)まで続くという構成。
そして、2011年にドラマ化されたのはその「春」のエピソード。主人公の星野春を演じたのは福田沙紀なのですが、家庭内でISであることををありのままに受け入れられてのびのびと育てられた春とは対照的に、ISである事実を母親に拒絶され、強制的に「少女」として育てられた相原美和子を演じているのが剛力彩芽。
ドラマはそのふたりのダブル主演という形になっているのですが、本作では剛力彩芽がその中性的な魅力を最大限に発揮しただけでなく、不幸な家庭環境で気持ちが荒んでいる、攻撃性と繊細さをあわせ持つ難しい役どころを好演。
このときはロングヘアなんですが、それもまた初々しくていい感じです。
このように、「適材適所」さえ守られれば不幸なバッシングが起きることもないハズなので、今後も彼女の活躍に期待したいと思います。
とりあえずは、誕生日おめでとう!
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。