日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『コンクリート・レボルティオ』
現在放送中のアニメ『コンクリート・レボルティオ ~超人幻想~』。
年号が昭和ではなく「神化」と定められた日本を舞台に、変身ヒーローや妖怪や超能力者……特撮やマンガのなかで描かれたスーパーヒーロー……「超人」が現実に存在する、もうひとつの戦後史を描いた作品だ。
おそらく、マイケル・ムーアの名作『ウォッチメン』を連想する方も多いだろうが、本作は、その日本版とも言える作品。
アメコミファンのみなさまはくれぐれもお見逃しなきよう。
さて、この『コンレボ』。1話は地球人と宇宙人が融合して生まれた巨大変身ヒーロー、2話は永遠に子どもの時間を生き続けるオバケの友だち、3話はロボット(サイボーグ)となった刑事……と、一話一話に各人気ジャンルのエッセンスが凝縮されている(それこそ第1話で言えばたった30分に『ウルトラマン』の物語を圧縮しているのだ)。
さらにはひとつの事件を神化41年と神化46年、5年の時を隔てた2つの時間から描く(41年で事件の表層的ないきさつが示され、そして46年でその裏に潜んだ真相が明かされる……というミステリでいう出題編と解答編のような関係)という構成もあって、とにかく毎回30分に収まっているのが信じがたいような情報量になっている。
この密度感こそ、本作の魅力なのだが、うっかりすれば置いていかれそうになるのも事実。
そんなわけで副読本としてぜひ、こちらのナイロンによるコミカライズをオススメしたい。
本作は題材を「41年の事件」に絞ることで、「圧縮」されたアニメ版では描かれなかった細部が補完されている。
『コンレボ』の物語とキャラクターをより深く理解する一助となるはずだ。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas