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「2016年は世界滅亡するよ」——聖徳太子の予言と三億円事件の深い関係とは【週刊「このマンガ」B級ニュース】

2016/01/05


複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。

今回は、「聖徳太子の予言と三億円事件」について。


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『聖徳太子秘文《未来記》開封 -「親鸞・一遍・日蓮」に隠された亡国のタイムカプセル』
飛鳥昭雄、山上智 徳間書店 ¥686+税
(2008年9月8日発売)


新年あけましておめでとうございます。
本年も「このマンガがすごい!WEB」ならびに本コーナー「B級ニュース」をよろしくお願いします。

昨年はいろいろなニュースについて言及してきましたけど、今年もいろいろ世界的なイベントが予定されていて、いまからドキドキしています。
リオデジャネイロでのオリンピック・パラリンピック、アメリカの大統領選挙、日本の参議院議員選挙……、そして世界滅亡。

そう、2016年は世界が滅亡するのです。

聖徳太子が予言しているので、滅亡します。


最近は聖徳太子の実在すら疑う学者もいるけれど、とりあえず聖徳太子が予言しているんだから滅亡するんです。SEKAI NO OWARIです。
おつかれさまでした。

なにしろ聖徳太子といえば、初代“一万円の男”である。
一万円札が福沢諭吉に代わってからすでに30年以上が経過しているので、アラフォー未満は実物を見たことがないかもしれない。
しかし聖徳太子がいなければ、この世に一万円が存在しなかったのだッ! たぶんッッ!

そんな一万円札を大量に強奪したのが、日本の犯罪史に名を残す「三億円事件」である。
日本中を激震させた完全犯罪であり、その手際の鮮やかさに多くの漫画家が魅了されたのか、本件を題材にした作品は近年にも多い。
お年玉大好き、お金大好きのみなさんのために三億円事件作品を見ていこう。


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『クロコーチ』第1巻
リチャード・ウー(作) コウノコウジ(画) 日本文芸社 ¥590+税
(2013年10月7日発売)

まずは長瀬智也と剛力彩芽の出演でテレビドラマ化もされた『クロコーチ』(リチャード・ウー作 コウノコウジ画)。本作は現在も日本文芸社「週刊漫画ゴラク」にて好評連載中だ。
作中では、闇に消えた三億円がとある組織によって運用され、日本の権力中枢に多大な影響を及ぼすようになっている。
汚職警官の主人公・黒河内圭太は、三億円事件の真相に近づくにつれ、謎の組織に接近していく。

原作マンガではバディ役であるキャリア官僚・清家真吾は男性だが、ドラマ版では女性(剛力彩芽)に改変され、銃声に驚いた清家が失禁するシーンが大きな話題を呼んだ。

あの剛力彩芽がッ! めごっち失禁ッ!!
私の頭も世界滅亡でございます。


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『三億円事件奇譚 モンタージュ Since1968.12.10』第1巻
渡辺潤 講談社 ¥552+税
(2010年10月6日発売)

2015年におよそ5年におよぶ連載に終止符を打った渡辺潤『三億円事件奇譚 モンタージュ Since1968.12.10』。
こちらも2016年にフジテレビ系列でテレビドラマの放映が予定されている(主演は福士蒼汰)。

主人公の鳴海大和は、父の遺品である剣道着の垂れから血まみれの500円札を発見。
それが三億円事件で盗まれた紙幣番号であったことから、大和は大きな事件へと巻きこまれていく。

作中では聖徳太子の旧紙幣が出てくるシーンがあるが、それが禍々しく見えるのは、演出の妙味といったところか。
2015年に世界文化遺産に登録された軍艦島も舞台になるところもポイントだ。


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『アンラッキーヤングメン』第1巻
大塚英志(作) 藤原カムイ(画) KADOKAWA ¥1,200+税
(2007年7月26日発売)

事件当時の時代背景を作中で再構築しているのが、『アンラッキーヤングメン』(大塚英志・作 藤原カムイ・画)である。

1968年前後に起きた出来事(長山則夫連続射殺事件、連合赤軍事件、三億円事件、学生運動など)や実在の人物をモデルにしたキャラクターが登場するので、世界観は完全に事件発生当時そのもの。

本作品はフランスのアングレーム国際マンガ祭2016の一般部門賞にノミネートされた。
この賞は1974年から開催されている歴史あるもので、日本人漫画家の受賞歴も多く、昨年は大友克洋が最優秀賞に輝いている。

やはり2016年は三億円事件イヤーなのかもしれない。


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『こちら葛飾区亀有公園前派出所』第12巻
秋本治 集英社 ¥390+税
(1980年4月発売)

ちなみに秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』でも三億円事件をモチーフにしたエピソードが登場する。
「ボーナスはまだか!?の巻」(コミックス12巻収録)では、三億円事件と同じ手口で亀有署のボーナスが盗まれる事件が発生。両さんの適当な推理がズバズバと当たっていく。

作中で三億円事件のことを「10年前」と言っているように、作品発表は1978年の「週刊少年ジャンプ」52号。ある意味では「秋本治が推理する犯人像」をうかがえる。
事件発生と同じ季節に掲載を合わせた点も心憎い。


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『小学館文庫 藤子・F・不二雄異色短編集4 パラレル同窓会』
藤子・F・不二雄 小学館 ¥562+税
(1995年7月発売)

いよいよ始まった滅亡イヤー。
1999年のノストラダムスの大予言にしても、2012年のマヤ歴の予言にしても、われわれの知らないところで、スーパーヒーローが世界滅亡を回避するために死力を尽くしていたに違いない。
本当は、世界は何度も滅亡しかけていたのだ! たぶんッッ!
だから今年も、ヒーローが世界を救うような壮大なマンガ作品を、たくさん読んできたいですね。

あと、本当に滅亡するときに備えて、藤子・F・不二雄『ある日……』(『異色短編集4 パラレル同窓会』収録)を読んでおきましょう。
エピソード7が絶賛公開中の『スター・ウォーズ』のパロディ『STAR WALK』も出てくるよっ!



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

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