話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『怪奇まんが道』
『怪奇まんが道』著者の宮崎克先生、あだちつよし先生から、コメントをいただきました!
『怪奇まんが道』
宮崎克(作) あだちつよし(画) 集英社 ¥720+税
(2015年11月19日発売)
霊感もないくせに人一倍恐がりで、だけどそういう人間に限ってホラーが好きだったりするから困りものだ。
それはつまり私=筆者のことであるのだが、そんなホラー好きにとって、宮崎克・あだちつよし『怪奇まんが道』(集英社)はたまらない1冊だ。
登場するのは古賀新一、日野日出志、伊藤潤二、犬木加奈子というホラーマンガ界の錚々たる面々。
インタビューをもとに描かれるその創作秘話は、「まんが道」のタイトルにふさわしい切実さと苦悩とに満ちている。
古賀新一先生が読むことができなかった手塚治虫からの手紙、日野日出志先生の父子の葛藤、犬木加奈子先生のシンデレラストーリーとその終焉……なかでも印象的だったのは、伊藤潤二先生の突然亡くなった同級生の話だ。
中1までひとりでトイレに行けなかったという伊藤先生は、臆病なくせに楳図かずお、古賀新一、日野日出志らの作品を愛読するホラーマンガファンだった。
そのデビュー作にして代表作である『富江』は、ある“違和感”をもとに着想された作品だったという。