日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『終末の天気』
『終末の天気』第2巻
作元健司(作) 津覇圭一(画) 講談社 ¥565+税
(2016年2月5日発売)
人を指さし「BAN!」と口にするだけで、人間が消滅する。
憎らしいヤツをこの世から簡単に消すことができたらどんなにいいか!? ある日、突然この能力を授かった本作の主人公・黒川のやりたい放題っぷりは、痛快をはるかに超えて、ドン引きレベルだ。
25歳、彼女も友だちもいないグータラ男の黒川は、とんでもなく自己中心的な人間。自分をクビにしたバイト先の店長を消し、実験と称して見ず知らずの人を消しまくる。
ところが、この能力はなかなかにコントロールが難しい。
人生で初めてできた恋人・サヤをうっかり消してしまってヤケクソになった黒川は街に出て無差別に人を消しまくる。その人数が100人に達した時、黒川はこれまでに消した人々が集まる異世界へと引きこまれてしまう。
そこで出会った謎の男いわく、黒川が「要らない人間」として消した100人は、来るべき終末を回避できる「要る人間」だったというのだ。
謎の男は一同に、来るべき終末に備え“方舟”の乗車券を配ってまわる。
しかし、黒川はこの乗車券をもらいそびれてしまい……気づくと現世に帰っていた!? しかも、夢ではなかった証拠に、黒川が消した人々もちゃんと存在していて、しかもあの乗車券を持っている様子。
乗車券をどうにかして手に入れようとなりふりかまわず行動開始する、世にもゲスい主人公の行く先は? ダーク極まりない物語に一片の救いはあるのか?
スピーディーにたたみかけ、一時も安堵させない……不穏な作品が大好きな人におすすめだ!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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