日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『小林さんちのメイドラゴン』
『小林さんちのメイドラゴン』 第4巻
クール教信者 双葉社 ¥600+税
(2016年5月12日発売)
自称「底辺」SEの小林さんと、メイド姿に擬態したドラゴンのトール。
2人の幸せな同居生活を描いた今作も、気がつけば4巻目。もうひとりの同居人、もとい同居「ドラゴン」であるカンナをはじめ、だんだんと仲間も増え、にぎやかになってきた2人の生活だが、この第4巻では、そこに不穏な空気が……。
小林さんの前に現れた、イルルと呼ばれる新たなドラゴン。
トールは、人間に対して悪意を持つ混沌勢のなかでもひときわカゲキなスタンスである彼女と、これまでにない激しい戦いを繰り広げる。
雲を衝き、空を切り裂く巨大な力を前に、忘れかけていたドラゴンとしての本能を思い出しかけるトール。その時、守るべき人のことすら意識の外に行きかける。
人とドラゴンは、やはり共存はできないのか? 思わぬ形で訪れた、シリアスな展開の行方や、いかに。
……と、煽ってはみたものの、小林さんとトールたちによる、ほのぼのするようなやりとりも健在なのでご心配なく。
お互いのことを思いやる人とドラゴンの姿を見ていると、こちらの人恋しさまでいやされていく。そんな気がする。
<文・後川永>
ライター。主な寄稿先に「月刊Newtype」(KADOKAWA)、「Febri」(一迅社)など。
Twitter:@atokawa_ei