365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
6月25日は築地本願寺本堂が完成した日。本日読むべきマンガは……。
『築地魚河岸三代目』第1巻
大石けんいち(作) はしもとみつお(画) 小学館 ¥505+税
東京食文化のメッカ、築地市場の豊洲移転が目前に迫っている!
市場の周辺には「場外」と呼ばれる商店街が根づき、市場ならではの新鮮な、かつ稀少な食材や料理であふれている。市場移転も築地に残る場外の商店街は新たな発展へと向かうのだろう。
悲喜こもごもな移転話だが、そもそも築地は移転から生まれた土地だった。
1657年の江戸で「明暦の大火」と呼ばれる大火事があり、江戸市街のほとんどが焼け野原になってしまった。
寺社仏閣も例外でなく、浅草にあった西本願寺別院も全焼。火災後は、江戸再建を担った江戸幕府によって移転が命じられてしまう。そこは八町堀(いまの八丁堀)の先、当時はただの海……。
そう、お寺は自ら埋め立てて再建することになったのだ。
そうして生まれたのが「築地」。築地とは「土地を築く」という埋立地を指す地名なのだ。
築地市場もまた、災害と移転で誕生した。
関東大震災で被災した日本橋魚河岸の機能を、一時的に築地に移したのがはじまり。
関東大震災は当時の東京の町を壊滅させ、なにもかも一新せざるを得ない状況を生み出した。
築地本願寺も例外ではなく、本堂は再び失われていた。そこで、災害に強いコンクリートを採用し、ユニークなインド寺院風の本堂を再建した。
今では重要文化財にも指定されている築地本願寺本堂が完成をみたのは、1934年の今日、6月25日のことである。
そんな今日、紹介したいマンガが『築地魚河岸三代目』だ。
2000年から「ビッグコミック」で連載が始まったこのマンガは、築地市場の仲卸三代目を継いだ主人公・赤木旬太郎が、築地の食材、そして人々を通じて成長する物語。本人の明るい性格、チャキチャキした江戸っ子らしさ、そして、深く掘り下げた食材の数々が生み出す物語は、「ビッグコミック」らしい王道人情もので、かめばかむほど味が出る。
もし読んでハマったら、アドバイザーの元仲卸三代目、小川貢一が開く築地のお店「魚河岸三代目 千秋」を訪問するのもよいかも!?
<文・沼田理(東京03製作)>
マンガにアニメ、ゲームやミリタリー系などサブカルネタを中心に、趣味と実益を兼ねた業務を行う編集ライター。