『きのう何食べた?』第2巻
よしながふみ 講談社 571+税
6月2日が「カレーの日」。その1カ月後、7月2日が「うどんの日」と来て、本日8月2日はその2つをかけ合わせた「カレーうどんの日」とされている。
これは2010年がカレーうどんの日本浸透から100周年だということで「カレーうどん100年革新プロジェクト」が制定したものだ。
さて、2009年度版『このマンガがすごい!』において、オトコ編6位を飾ったよしながふみ『きのう何食べた?』(講談社)でも、カレーうどんをめぐるエピソードが登場しているのはご存じだろうか。
几帳面な弁護士・筧史朗と朗らかな美容師・矢吹賢二のゲイカップルが織りなす穏やかな日常を「食生活」という視点から描く本作。
第2巻収録の14話は、本編のプレストーリーともいえるエピソードであり、史朗と賢二の出会いから同棲に至るまでの過程をカレーうどんの調理と絡めて描いている。
「カレー」と「うどん」という、アンバランスな2つの料理が調和した結果であるカレーうどんは、性格や容姿の相違など、一見すると共通項が見当たらない史朗と賢二が円満に交際しているさまを隠喩しているようであり、作品中でも屈指の味わい深いストーリーだといえるだろう。
<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。