話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『さよなら私のクラマー』
『さよなら私のクラマー』著者の新川直司先生から、コメントをいただきました!
『さよなら私のクラマー』第1巻
新川直司 講談社 ¥429+税
(2016年8月17日発売)
実写映画公開中の『四月は君の嘘』も話題沸騰! 新川直司、待望の新作『さよなら私のクラマー』は、サッカーに情熱をかける少女たちの物語だ。
ちなみにクラマーとはドイツのサッカー選手、伝説的なサッカー指導者と目されるデットマール・クラマーのこと。1964年の東京オリンピックを控えた日本代表チームの指導者として招聘された「日本サッカーの父」。
すぐれたポテンシャルをそなえながら、目立った活躍をすることなく中学サッカーを終えた周防すみれ。コミュニケーションが苦手なこともあり、抜きんでた力は弱小チームにあって仲間たちから孤立する要因に。
そんな不遇のウイング・すみれをだれよりも認めていたのは、同じ地域の中学に通う曽志崎緑(そしざき・みどり)だ。緑のチームは全国3位の成績を収めており、チームの要である緑は名の知れたボランチ。
緑は地区大会でことごとくすみれの中学を打ち負かしてきたが、彼女の才能が埋もれるのを惜しんでいた。そして、緑はすみれに同じ高校でプレイをしようと声をかけるのだ。
自分たちが思いきり、自分らしいサッカーをできる環境はどこなのかを考えた結果――2人が進学先に選んだのは無名の蕨青南(わらびせいなん)高校。
名門校との練習試合に惨敗しつつも、ひとり気を吐いた田勢恵梨子の悔し涙に、緑とすみれは心が共振するのを感じたのだ。