『ちとせげっちゅ!!』第10巻
真島悦也 竹書房 \750+税
(2014年7月26日発売)
12年間続いた小学生ラブコメ4コマも、ついにラスト!
……とはいっても最終10巻でも、今までとまったく変わらない日々が続く安心。
小学5年生の桜庭ちとせは、学校の近くにある役場職員の柏原宏志が大好き。毎日学校を抜けだしては柏原に体全体でアタックして愛情表現をしている(ようはただの体当たり)。
きわめて普通の外見だが、根がいい柏原は、ちとせの担任・藤麻子にもべた惚れされてしまう。こうして小学生ちとせと、女教師麻子による、柏原争奪戦が行われる。
さすがに10巻も続くと柏原も慣れてきて、彼女らが役場にこないと落ちつかないくらい。
本作は、読者の好みを、時代にあわせて非常に鋭くサーチし続けてきた作品だ。
年上のお兄さん大好きな小学生に、ちょっと年増の独身女性教師(特に作者の独身女性描写に対するこだわりは尋常じゃない)。
ここに、ファザコン少女みさき、ダジャレ好きな不思議ちゃんの雛子という、ちとせの友人が加わる。これまた「好みドンピシャ!」だった人は多いだろう。
さらに、ブラコンの姉、クールビューティ金髪ツインテールの姪と、次々と新キャラクターが登場。
極めつけは、ちとせの母。セクシャルなネタを赤裸々に話してしまうエロエロママだ。
OH、大好物です。
柏原とちとせを軸に、どんどんと横に人間関係を広げ、ニーズに応えるキャラをしっかり作り上げていく手腕は見事。ここまで人気が続いたのも、よくわかる。
あまりストーリーづけをしないファミリー向け4コマらしく、ラストはズバッと終わっている。だからこそ、彼女たちの日常はこれからも続いていくように見え、幸せな余韻に浸ることができる。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」