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【日刊マンガガイド】『僕はコーヒーがのめない』第1巻 吉城モカ(画) 福田幸江(作) 川島良彰[コーヒーハンター](監)

2014/08/16


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『僕はコーヒーがのめない』第1巻
吉城モカ(画) 福田幸江(作) 川島良彰[コーヒーハンター](監)
小学館 ¥552+税
(2014年7月30日発売)


スターバックスに代表されるシアトル系コーヒーのチェーン店が全国に店舗を構え、さらに昨今はコンビニのセルフコーヒーも大ヒット。2014年のコンビニ大手5社の販売計画は合計13億杯にものぼるというから、日本人はこんなにもコーヒー好きだったのかと改めて思わされる次第である。
そしてコーヒー業界には、いま「第三の波(サードウェイブ)」が起こりつつある。まるで高級ワインのように扱われる高品質な「スペシャルティ・コーヒー」をいかにして流通させるか。それに挑むのが、本作『僕はコーヒーがのめない』のテーマである。

本作の主人公・花山太一は、飲料メーカーに勤める営業マン。他人とのコミュニケーションに難があるダメ社員と思われていたが、超人的なコーヒーのテイスティング能力を隠し持っており、敏腕営業マンの先輩・加賀谷と組んで「スペシャルティ・コーヒー」を販売する新プロジェクトを進めていく。
美味しんぼ』(原作:雁屋哲、作画:花咲アキラ)や『神の雫』(原作:亜樹 直、作画:オキモト・シュウ)に連なる、「高級志向型料理マンガ」の系譜といえるだろう。

当然のことながら、作中にはコーヒーのウンチクが満載。コーヒーの味に関する根本的な知識(=豆の品種)が、ほとんど一般に知られていないことに驚かされる。
お米を例にして出される「品種(ブランド)」と「地名(産地)」の違い、「コーヒー豆は果実」との説明など、まさに目からウロコ。「知られざる世界」が少しずつ開示されていくのは、この手のマンガならではの快楽だ。
また、はじめは「先輩・後輩」の関係性でしかなかった主人公・太一と加賀谷の間柄に、プロジェクトを通じて「バディ感」が芽生えていくのも見所。得意分野の仕事、面倒見のいい先輩、ライバルの存在によって、太一が自己実現を成していく成長譚として今後が楽しみである。

単行本には、監修を努めるコーヒーハンター・川島良彰氏による解説がコラムとして入る。これ一冊で、身近なコーヒーに“深み”を見い出せること請け合いだ。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。

単行本情報

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