日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『LIMBO THE KING』
『LIMBO THE KING』 第1巻
田中相 講談社 ¥581+税
(2017年1月6日発売)
村の禁忌に触れた若い夫婦の運命にハラハラしつつ読んだ『千年万年りんごの子』、そして「なんで部活やるの?」という命題を掲げた異色ともいえる女子バレー部物語『その娘、武蔵』。1作ごとに新しい世界を見せてくれる田中相の最新作は、アメリカが舞台のSFミステリー。
作品世界に合わせて絵柄も変えてくる著者の底知れなさに、新連載予告を見た時から期待は高まりっぱなしだった!
時は2086年、主人公のアダムは筋骨隆々の海軍兵だ。任務中に大怪我を負い、退役の危機にあった彼に新しいポストが提案される。
それは、奇病「眠り病」に絡む極秘のミッションで……!?
眠り病は人間の記憶を食い荒らす病で、罹患した者のほとんどは3カ月以内に命を落とす。多大な犠牲者を出したものの8年前に軍部による特殊な治療法が開発されてからは、病は根絶されたはずだった。
しかし、再び「新型」の眠り病が発生し始めていたのである。
眠り病の治療は、「ダイバー」および「コンパニオン」と呼ばれる専門家がタッグを組み、患者の脳内世界“LIMBO”に潜入して行うもの。失敗すれば、自らの命を落とす危険が大。
アダムは、すご腕のダイバーとして活躍し“KING”と呼ばれた男・ルネとコンビを組むコンパニオンにスカウトされたのだ。
眠り病に関する謎はもちろんのこと、豪放磊落(ごうほうらいらく)なアダム、無口で陰のあるルネ……それぞれが抱える個人的事情が明らかになっていくのが楽しみである。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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