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【日刊マンガガイド】『恋しかりける』第1巻 みすみ理央

2014/09/01


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『恋しかりける』第1巻
みすみ理央 徳間書店 \580+税
(2014年8月20日発売)


篠原すみれは20代半ばのフリーター。10年前に両親を事故で亡くしてからは、バイトを掛け持ちしながら弟の柊(しゅう)を育ててきた。柊は父の再婚相手の息子で血縁関係はないが、本当の弟のように溺愛している。
その柊は姉の頑張りに応えるように進学校のK高に特待生で合格した。一方、すみれより2つ年上の青谷航太朗は、幼いころから彼女のそばに寄り添ってきた理解者だ。
そんな血のつながりはない2人に同時に告白されたら……。物語は大事に紡がれてきた3人の関係が崩壊するところからスタートする。

作者・みすみ理央は「コミックゼノン」の新人マンガ賞・マンガオーディションで初のグランプリ受賞者となった期待の新人。ストーリーはヘビーだが、あとがきで語られているように、みすみのショタ趣味が主軸。幼少時代から高校卒業まで天使のような柊の成長が描かれ、随所で萌えポイントが張りめぐらされた仕様となっている。

幼なじみで兄のように慕ってきた航太朗、実の弟として女手ひとつで育て上げた柊。すみれにとって2人はかけがえのない家族であり、恋愛関係になることなんて、想像もしていなかった。
すみれのこの鈍感力が2人の男を狂わせてしまうのだから、とんだ魔性ですな。

航太朗がすみれに10年越しの想いを伝える場面に遭遇してしまった柊。その表情からはキラキラした少年性がバッサリと消え失せ、瞬間的に大人の男へと変貌する。こうなればもう、姉弟としてひとつ屋根の下で仲良く暮らすことは不可能だ(後半には壁ドンもあり)。はたして、すみれの下す決断は?
妄想を全開にしながらページをめくるべし!



<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
ドキュメント毎日くん

単行本情報

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