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『また、片想う。』 第1巻 タチバナロク 【日刊マンガガイド】

2017/04/27


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『また、片想う。』

  
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『また、片想う。』 第1巻
タチバナロク KADOKAWA ¥580+税
(2017年3月25日発売)


著者・タチバナロクは、うまく恋愛感情を伝えられないはがゆさと、そこで悩む人間の愛しさを表現するのが本当にうまい。
『恋愛しませんか?』では、“1カ月だけの恋愛関係”という前提条件があったゆえに、好きの気持ちが伝えられないシーンがあった。
『可愛い上司を困らせたい』では、部下の青年がガンガン押してくるため、どこまで気を許していいのかわからず困惑する上司の女性をキュートに描く。

今回の作品は、著者の“伝える”恋愛観のテーマを、かなりシビアに切りとっている。
ヒロインの清瀬。幼馴染で清瀬にいつも繰り返し「好きだ」といい続ける野方。そんな2人を茶化す元明。
3人はいつもつるんでいた。
あんまりにもいわれ続けると、“好き”の価値が全然わからなくなる。清瀬もさすがにネタだろうと気にしなくなってしまった。オオカミ少年状態だ。
しかしどうも、野方の“好き”は本心らしい。

言葉がなくても通じあう、なんてのは一定の経験をしている大人の意見。
中高生の恋愛において、言葉による確認は必須だ。
踏み切っていうのには、ものすごい勇気がいる。“もうもとの関係に戻れなくなる”という決断だ。
清瀬は言葉を伝えねばいけない重要な局面で、悩みこんでしまう。

物語は後半、急展開に入る。
第1巻は、この大きな物語の導入にあたる。本格的に物語がはじまるのは第2巻からだ。
丁寧に前提を組み立てているのは、清瀬という少女が“想いを伝える”というテーマに、どのくらい覚悟を持って立ち向かうかを表現する必要があるからだろう。

女の子のむちむち感あふれる描写も健在。
現時点での著者の、恋愛表現の集大成になりそうな作品だ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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