日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『師匠シリーズ デス・デイ・パーティ』
『師匠シリーズ~デス・デイ・パーティ~』 第5巻
ウニ(作) 片山愁(画) 少年画報社 ¥575+税
(2017年3月30日発売)
2003年にネット掲示板「2ちゃんねる」に投稿され、以降、長編ホラーとして絶大な支持を集めている“師匠シリーズ”。
大学生の“俺”が、オカルトマニアである“師匠”と出会ったことで数々の怪異に遭遇する模様を描いた本作は、WEB小説としてスタートし、コミカライズもされた。
本作の特徴は、必ずしも幽霊が登場するわけではないということ。
ときには人間の内側に潜む狂気なども描かれ、それがまた背筋に冷たいものを走らせるのだ。
さて、このたび発売された第5巻でも、その筆致はブレていない。
未来予知能力を持つ“歩く(ありく)”の誕生日を祝う表題作「デス・デイ・パーティ」、未来をトレースした小説をもとに師匠の行方を追う「追跡」、だれにも気づかれない幽霊は存在しているといえるのかどうかをめぐる「森の中」など、いずれも従来のホラー作品とは一線を画す内容だ。
特に、「デス・デイ・パーティ」は一種の思考ゲームがテーマになっている。
自身の誕生会に集まってくれた面々を前に、歩くはひとつの問題を出す。
それは以下のもの。
X=1+1-1+1-1+1-1+1-1+1…………
この永遠に続く数式には、解が3つあるという。それをひとつでも間違えてしまったら、アウト。
その時は……?
数式と未来予知が入り交じる展開は、さながら哲学書を読んでいるかのよう。
もちろん、そこにホラーのエッセンスも忘れていないのは、さすがウニさん。
単純なホラーではなく、頭脳をフル回転させそこに生じる恐怖を味わいたいのならば、ぜひ読んでもらいたい作品である。
<文・五十嵐 大>
'83年生まれの、引きこもり系フリーライター。デスゲーム系やバトルもの、胸キュン必至の恋愛マンガやBLまで嗜む、マンガ好きです。マイブームは、マンガ飯の再現。