日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、
『機動戦士ガンダムMSV-R ジョニー・ライデンの帰還』
『機動戦士ガンダムMSV-R ジョニー・ライデンの帰還』 第14巻
富野由悠季(作) 矢立肇(案) Ark Performance(画)
大河原邦男(メカニックデザイン) KADOKAWA ¥580+税
(2017年4月4日発売)
ガンダム・シリーズの新作アニメ「機動戦士ガンダム Twilight AXIS」が発表され、『MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』を手がけるArk Performanceがついにガンダム・アニメにも参戦することが判明! ますます勢いづく本作もアニメ化の日がくることを期待しながら、今は物語が佳境へ入る最新刊・第14巻を楽しみたい。
一年戦争の技術情報を収集・保存する地球連邦軍の組織・FSS。
そこに所属するレッド・ウェイラインは、突然シミュレーター上に現れた「ジョニー・ライデン」のメッセージから、旧ジオン公国軍エース部隊「キマイラ隊」の隊長、ジョニー・ライデンを調べ始める。
一方、いまだ混乱収まらない地球圏の各勢力の間では、旧キマイラ隊が保有していた巨大MS工場船「ミナレット」と、それに搭載されているであろう「ザビ家の復讐装置」を巡って争奪戦が起こっていた。そして、レッドこそが、その鍵となるジョニー・ライデン本人ではないかと目され、レッド本人もまた戦いに巻きこまれていく……。
今巻では、ほぼ無人のまま、宇宙へ打ち上げられてしまったキマイラ隊のザンジバル級巡洋艦「サングレ・アスル」を追いかけ、旧ジオン公国軍ソロモン要塞に、各勢力が集結する。
地球連邦のゴップ議長とオクスナー首相補佐官の政争。シャア・アズナブルが率い、勃興するネオ・ジオン。そして、FSSと各勢力に散ったキマイラ隊の面々。
それぞれの思惑を胸に彼らは火花を散らす。そこは、かつて軍事勢力「デラーズ・フリート」が実行した核攻撃で沈んだ、多数の戦艦の残骸が眠る暗礁宙域だった。
Ark Performanceのガンダム作品は、アニメ作品の歴史に「すごく納得ができる」ちょい足しビハインド・ストーリーを加えるのがたいへんうまい。そして、キャラクターもまた、作品を横断するかたちで登場するなど、ほかの作品と比べても、ひとつ抜きん出た魅力を感じてしまう。
当然ながら「機動戦士ガンダム Twilight AXIS」にも、本作から少なくとも2名が登場するとのこと。 じっくり今巻を読みながら、新たなるガンダムの歴史に備えてほしい。
<文・沼田理(東京03製作)>
マンガにアニメ、ゲームやミリタリー系などサブカルネタを中心に、趣味と実益を兼ねた業務を行う編集ライター。