日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ふつつか者の兄ですが』
『ふつつか者の兄ですが』 第5巻
日暮キノコ 講談社 ¥560+税
(2017年4月21日発売)
“ひきこもり”の兄・保と、明朗快活な妹・志乃とのやり取りを軸に、家族のあり方を描く本作。
明るく友だちも多い志乃にとって、ひきこもりの保は“恥ずかしい”存在だった。
しかし、ある日“脱・ひきこもり”を宣言する保。
それを機に、2人の関係性は少しずつ変わっていくのだが……。
第5巻では、2人の立ち位置が見事に逆転するさまが描かれる。
彼氏とうまくいかずどん底状態の志乃。その一方で、ファーストキスをすませ、浮かれモードな保。
志乃は家にひきこもってしまい、有頂天になっている保を疎ましく感じるようになる。
そんな志乃に保は「お前、いまひきこもりだもんな」といい放つ。
おいおい、それお前がいうのかよ……!
志乃でなくとも、だれもが保にそう思うだろう。
しかし、それを機に、志乃は本当にやりたいことを見つける。そう、将来の夢だ。
そこから始まる、志乃の快進撃。やはり夢を見つけた者が強い。
そんなことを感じさせる展開と、青春まっしぐらな志乃に、読者も読んでいて気持ちがいいはず。
その反面、女の子に振り回されっぱなしな保が心配にもなるが……。
ちょっといびつな兄妹の物語。今後も2人の成長が楽しみだ。
<文・五十嵐 大>
'83年生まれの、引きこもり系フリーライター。デスゲーム系やバトルもの、胸キュン必至の恋愛マンガやBLまで嗜む、マンガ好きです。マイブームは、マンガ飯の再現。