日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『Dr.キリコ~白い死神~』
『Dr.キリコ~白い死神~』 第2巻
sanorin(画) 手塚治虫(作) 藤澤勇希(脚本) 秋田書店 ¥562+税
(2017年4月20日発売)
天才医師ブラックジャックのライバル。
人を殺すことで人を救う、死神の化身。
本作は手塚治虫『ブラックジャック』の名脇役、ドクター・キリコを現代に蘇らせたスピンオフ、その第2巻である。
いずれも“安楽死”をめぐって展開される6つの物語。
依頼人はマフィアの大物からロボットなどバラエティあふれる面々。
しかも、アンチヒーローのクールな魅力にあふれたエピソードもあれば、答えの出ない問いを前に苦悩するキリコを通じて、読者に重い問いを投げかけるものあり、内容はそれ以上に豊かである。
原作の『ブラックジャック』は、毎回毎回、「よくも短篇でこれだけ濃密な内容を」と驚かせてくれたが、本作『Dr.キリコ』は、それと同種の読後感を与えてくれる、スピンオフの見本のような作品だと思う。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas