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『孤島の鬼』 環レン(画) 江戸川乱歩(作) 平井憲太郎(監修) 【日刊マンガガイド】

2017/07/13


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『孤島の鬼』

  
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『孤島の鬼』
環レン(画) 江戸川乱歩(作) 平井憲太郎(監修) リブレ ¥629+税
(2017年6月9日発売)


江戸川乱歩の代表長編『孤島の鬼』のコミカライズ作品。
『孤島の鬼』のマンガ化といえば、古くは高階良子『ドクターGの島』があり、そのあと長田ノオトが手がけ、記憶に新しいところではneked ape『孤島の鬼』(全3巻)がある。
本作は、そうした系譜に連なる作品なのである。

若くして総白髪となった青年・蓑浦金之助(みのうら・きんのすけ)が語る数奇な物語。
婚約者の木崎初代が密室で殺害され、その真相解明を依頼した探偵・深山木幸吉も衆人環視の海岸で刺殺された。
いずれの現場でも、以前から蓑浦への思慕の念を隠さなかった青年・諸戸道雄が目撃されていた。
疑惑の眼を向けられた諸戸は、名探偵ぶりを見せ、2つの事件を快刀乱麻で解決。
そして、2人は事件の根源を探るべく、諸戸の故郷・岩屋島へと向かう。

「ビーボーイ コミックス」は、BLコミックのレーベルなので、江戸川乱歩ファンとしては「原作のBL要素が強調されたコミカライズだとしんどいな」と思っていたが、原作どおりに“BLの香りが漂うミステリ”というかたちで仕上がっているのはうれしかった。

それには江戸川乱歩の孫・平井憲太郎が監修を行ったこともあろうし、なによりも環レンが「ネーム以降は原作に操られるように、自分では考えていなかった構図を手が勝手に描いていくことも多くありました」と語るように、作画者も操るような原作の力もあったのだろう。

BLコミックの棚に並んでいるので買いづらい、というのであればネット通販のご活用を(筆者もそうした)。
見逃すのはもったいない1冊である。



<文・廣澤吉泰>
ミステリマンガ研究家。「ミステリマガジン」(早川書房)にてミステリコミック評担当(隔月)。「2017本格ミステリ・ベスト10」(原書房)でミステリコミックの年間レビューを担当。

単行本情報

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