日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『百合好きくんと百合好き好きくん』
『百合好きくんと百合好き好きくん』
U-temo リイド社 ¥600+税
(2017年6月17日発売)
百合好きくんは、女の子カップリングが大好きでしかたない青年。
百合好き好きくんは、楽しそうな百合好きくんを見ているのが、好きな青年。
百合好き好きくんは自分の思いを、隠し続けようとしていた。
しかし百合好きくんが「彼女ほしい」といい出してから、落ちつかなくなる。
そんな彼らを遠くから見ていた、腐女子さん。
「何あの2人仲がよすぎる!」と大興奮。遠くからニヤニヤ観察している。
百合好きくんは、女の子を2人きりにしてくっつけようと行動する。
もちろん女の子たちはそんなこと気にしていないのだが、百合好きくんは満足なようだ。
男が介入するのは許せないらしい。
腐女子さんは、遠巻きに仲のいい男の子2人を見るのが好き。自分の妄想に重ねあわせる。
けれどあくまでも「自分のつくったキャラクター」なので、その本人たちに近づくことはない。
百合好き好きくんは、その感覚がいまいちわからない。
百合とBLが話題の軸になっているこの作品。百合好き好きくんもBL本をたまたま見てしまうシーンもある。
とはいえそれはそれなのだ。
百合好き好きくんの気持ちに気づいた人たちが、みんなすんなり受け止めているから、この作品は心地いい。
まだ気持ちを隠していた彼が、知り合いに相談した時。
ふと「好きな人に……彼女がいるかもしれない……」といったあと、気づいて焦る。
でも、知り合いは「いやもうわかってるから大丈夫だよ」と流す。
百合、BLと、実際の恋愛は違う。
うまくいくいかないは別として、だれがだれを好きになってもいい。
感覚的にだれもがわかっているけど、言葉で表現するとなるとつい踏みとどまってしまいがちな部分だ。
このマンガは、LGBT絡みの単語は使っておらず、彼らの間の出来事を見守るように描いている。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」