日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『外れたみんなの頭のネジ』

『外れたみんなの頭のネジ』 第3巻
洋介犬 泰文堂 ￥600円+税
（2017年7月12日発売）

気がついたら、学校や街の人々の様子がおかしい。
おかしいというか、狂っている。
人の死をどこか軽くみていて、人間としての常識が壊れてしまったみたいだ。
公園にいるボストンバッグを持ったオジさんはバッグのなかに何か恐ろしいものを入れているし、人形らしきものを慈しむオバさんのその人形は本当は人形じゃない。

なんで世の中は狂ってしまったのか、世の中をもとに戻すことはできるのか。
その鍵を握るのは、突然あらわれた悪魔。しかし悪魔はいう。
「本当に世の中のほうが狂っているのか。狂っているのはお前ではないか」と。

もちろん自分は狂ってなどいない。
しかし、悪魔に「世の中のほうが狂っている」ことを示すために、わざわざ危険で不気味な事件に近づき続けているうちに、「自分には姉がいたかもしれないが、まったく思い出せない」という事実に直面することになる。

姉がいたのに、まったく思い出せない。
そこにはどうやら秘密が隠されているらしい。
街が狂い始めたことと、自分の姉の記憶が封印されていること。
狂気を街にバラまいたと思しき男と、その男をそそのかしたと思しき女生徒も登場し、事件の謎は解明へと近づく。
姉の記憶が消された理由とは何だったのか？

『黒街』『でろでろ』に通じる、ハートウォーミングホラーギャグかと思いきや、『ちーちゃんはちょっと足りない』や『空が灰色だから』などのような心理攻撃系ダーク青春要素強め。

精神の爪が剥がれるみたいな嫌ァな感じを味わいたいならぜひ読んでみて！

＜文・永田希＞
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい！2014』のアンケートにも回答しています。
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