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『おはようサバイブ』 第1巻 前原タケル 【日刊マンガガイド】

2017/08/14


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『おはようサバイブ』



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『おはようサバイブ』 第1巻
前原タケル 講談社 ¥429+税
(2017年7月14日発売)


ナユタとユメは童貞処女のカップル。食べものを探して放浪中。
2020年のパンデミックで、世界中の人間が病気に感染し、地球人のほとんどが死滅。
東京は朽ちてボロボロ。
2人は、山手線のなかで豪華な生活をする龍とかなぴーに遭遇。
生きるすべを彼らに学ぶことを決意する。
その晩、龍とかなぴーがセックスする声を聞いて、戸惑う。

龍たちが食料にこと欠かず、お酒やシャワーなどもゴージャスに使えているのは、自家菜園をつくり、魚を釣り、馬を育て、バッテリーを充電し、銃とナイフの訓練をしているから。
自給自足だけじゃない、最終手段・強奪も辞さない勢いじゃないと生きられない。
ナユタとユメは、まったくそんなことはできない。

サバイバル生活をしたことがない少年少女が、サバイバル慣れした人間に出会う。
タイトルの「おはよう」は、リアルな「サバイブ」に向きあったナユタの素の感覚だろう。
ナユタとユメは、パンデミック前のピュアな気持ちのまま。
だから、龍とかなぴーのセックスに衝撃を受けた。鶏をしめる様子に対しても、目を背けた。
「生きる」という現実の生々しさに、まだ頭が追いついていない。
生存者の間でなら必ず直面する事実。それを目の当たりにし、ひとつずつやっと気づいていく。

生き残っているチンピラたちは、ナユタのことをチェリーボーイと呼ぶ。
たしかにナユタは、まだまだサバイバル童貞。
このあとナユタは、女とサバイバルへの童貞を捨てて頑強に生きていくのか、それともどちらへも童貞を守り続けて誠実に生きる道を選ぶのか。
滅亡寸前の世界でも、恋人に操を立てているナユタとユメは、たくましさこそないものの、作中で希望のように明るく光っている。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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