日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『へんなものみっけ!』
『へんなものみっけ!』 第1巻
早良朋 小学館 ¥552+税
(2017年7月12日発売)
「とある地方都市の、忘れられた博物館での仕事」と聞くと、どんな仕事を想像するだろうか。
ひがな一日、受付でぼーっとしながら、ときどき展示物のホコリを払ったりするような楽な仕事?
ところが、博物館への出向となった青年・薄井が出会った「博物館の先生たち」は、意外や意外に超アウトドア派。道ばたにシカの死骸が落ちていれば、かついで持ち帰り、台風がくれば風で流されてきた鳥を探しにいき、あるいはフクロウのヒナの足にタグづけするため森に何日も泊まりこむ。
ときには、警察から持ちこまれたサンプルを分析し捜査に協力することも。
そんな博物館のお仕事が、キャラが濃いにもほどがある(注・主人公除く)登場人物たちとともに、著者の実体験に基づいて描かれる。
「集める」ことはすべての研究の第一歩。
だれもこない博物館に税金なんて使う意味があるのか、なんて一度でも思った人とぜひ、手に取ってほしい1冊だ。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas