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『メイドインアビス』 第6巻 つくしあきひと 【日刊マンガガイド】

2017/08/28


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『メイドインアビス』


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『メイドインアビス』 第6巻
つくしあきひと 竹書房 ¥820+税
(2017年7月29日発売)


「WEBコミックガンマ」で連載中のWEBマンガ『メイドインアビス』最新の第6巻が7月終旬に発売された。

陸海空を踏み明かした人類最後のフロンティア、「アビス」。
それは地下に向かってまっすぐ2万メートル超の深さを持つ超巨大タテ穴。
古代文明の遺跡・遺物がごろごろと潜んでおり、その多くが地上社会ではおよばない常識外の効果やいわくを備えた、暗黒の宝物庫だ。

猛獣に喰い殺されるか生きたまま寄生生物の苗床になるなんて危険は、まだ序の口。
深い階層に行くほど、上へ戻る際に頭痛・幻覚・吐き気・出血など心身にダメージを与える「呪い」が生じる謎の現象こそがアビスの本領である。
最深部の手前まで降りた人間が上昇しようとすれば、精神の崩壊や肉体の変化、そして確実な死が待ち受ける。つまり探窟を極めるなら、地上に帰還しないことを始めから覚悟しなければならないのだ。

それでも探窟家たちはアビスに下りて、自分にできるかぎりの深みを目指す。 理由は冒険への純粋な憧れ、あるいは真理の探究。そのためには人間の姿や倫理すら捨てても……。

そんな世界で、人一倍の冒険心にあふれる少女・リコは、最高位「白笛」の探窟家である母親が深層から送ってきた封書に「奈落の底で待つ」という一文を見つけたのをきっかけに、アビス探検を開始。
記憶喪失中の少年型ロボット・レグとの旅路は、呪いを視認できる半人半獣の少女・ナナチを新たに加えて過酷ながらにぎやかになっていく。

やがてリコの母と同じ「白笛」で、マッドサイエンティストの「黎明卿」ボンドルドと遭遇、ナナチの親友を人体実験の犠牲にした元凶との間に過激なバトルが始まり、3人の力と知恵が勝ってついに決着、新たなステージへの道が開かれた……というのが前巻までの大筋となる。

最新巻では、もうあと戻りできない深さへの“ラストダイブ”をあらためて決意したリコたちが深界五層の最深部から第六層「還らずの都」へ到達。
古代都市の廃墟で寝泊まりしているすきに、何者かにいたずらされた3人が痕跡をたどった先で見つけたのは、人の言葉が通じにくい異形の怪物たちだった。
市場をつくり、「価値」と呼ばれる独特の概念を通貨にしてモノをやりとりする彼らは、かつてアビスの底を目指した人間たちが、自分の欲望に応じたかたちへ肉体が変容してしまった「成れ果て」だという。

そのうえ「成れ果て」たちが姫と呼ぶ特別な存在があらわれ、レグの過去の一端がほのめかされるほか、地上のアビス周辺居住区で流行しつつある奇病が深層へ関わっていくサブエピソードを挟んで、アドベンチャーのみならずサスペンス感もいっぱいの巻となっている。

なお、本作はちょうど今テレビアニメ化されて好評放送中なので、マンガと合わせておすすめしたい。
小島正幸(監督)、倉田英之(シリーズ構成)、黄瀬和哉(キャラデザ&作監)、吉成鋼(生物デザイン)など、実力派のベテラン布陣が原作に負けず気合の入った映像作品に仕上げており必見だ。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメやマンガ、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム35年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論 増補改訂版』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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