日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『異種族レビュアーズ』
『異種族レビュアーズ』
天原(作) masha(画)
KADOKAWA ¥620+税
(2017年9月8日発売)
原作者曰く「疑似飯マンガ」。
「異世界の多様なグルメをご堪能ください」とのこと。
扱われているグルメとは、風俗店のことだ。なるほど性的にいただくのですね。
舞台になっているのは、各種亜人種が暮らすファンタジー世界。
となれば、人間のみならず、それぞれの種族のエロいお店は当然存在する。娼婦は世界でもっとも古い職業のひとつとも言われていますし。
エルフ、有翼人、獣神、ダゴン、フェアリー、スライムなどなど。
人間のスタンクとエルフのゼルは、探究心旺盛。各種族のエッチなお店をまわって、レビューを書き始める。これが酒場で大ウケ。両性具有の天使・クリムヴェールも巻きこんで、なかば命がけの性的冒険を開始する。
原作の天原は過去に、pixivのR-18で『異種風俗クロスレビュー』という作品を描いている。
「ファミ通」形式で描かれたレビューは、ファンタジー世界の設定を、あたかも現実のように掘り下げ考察するおもしろさにあふれていた。
あらゆる種族の性は18禁マンガや『モンスター娘のいる日常』『セントールの悩み』などでたびたび描かれてきた。
だが、性風俗が描かれる作品はほぼなかった。
他種族への商売となると、経営に問題点はないか、その種族の性の常識はどのようなものか、店は成立するのか、丁寧に設定を考えなければいけない。
たとえば人間はエルフの美しさに目がない。相手が数百歳でも、かわいく見えちゃう。
人間は魔力が極端に少ない種族のため、ぱっと見でエルフの年齢がわからないからだ。
しかしエルフや天使など魔力にあふれる種族は、体に宿るマナの様子がよく見える。
どんなに容姿が美しかろうと、数百歳のマナの加齢臭には全然耐えられないらしい。むしろ人間の50歳はエルフにはちょうどいいんだそうな。
オークやサラマンダーなんかも客をとっている世界。容姿はむしろ判断基準としては曖昧なほうなのだ。
嬢はみんなサキュバスのハーフ、という設定なので、商売の様子はいたって楽しそう。買う側もなんの気兼ねもなし。
性に奔放な世界は見ていて楽しい。
読んでいる側も「スライムとか案外いけるのでは?」という気持ちがわきあがり、性癖の扉がガンガン開く作品。新しい世界に目覚めちゃおう。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」