『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』第1巻
浅野いにお　小学館　\ 600+税
（2014年9月30日発売）

『おやすみプンプン』完結後、初の新連載ということで注目を集めていた浅野いにお最新作の単行本第1巻がついにデター！

3年前の8月31日、突如 「侵略者」の巨大な「母艦」が東京へ舞い降り、この世界は終わりを迎えるかにみえた。が――。
多くの命が失われ、土壌が汚染され、いぜん大きな円盤が空に浮かんだままで、たまに攻撃をしかけてくるものの、なんとかやっていける程度に絶望と楽観がないまぜになった世界。そこで青春をもてあまし、進路や親との確執に悩みつつも、ゲームや恋愛ごっこや他愛のないおしゃべりに日々を費やす女子高生2人。

花沢健吾『アイアムアヒーロー』や本田真吾『ハカイジュウ』といった、ほかの「終末」をテーマにした作品のような大きなパニックも起こらないまま、中途半端に壊れた日常がダラダラと続いてゆくあたり、いかにも浅野いにお！　といった感じなのだが、ふと現実を振り返れば、このダラダラした閉塞感こそ3.11以降の日本のリアルであり、「日常」なのだとハッとさせられる。

そんな、私たちの生きる現実と某国民的キャラクターのアニメの両方を、同じ土俵上でパロディにしてしまう屈折したセンス。シリアスなのかギャグなのか、意味があるんだかないんだか、答えをはぐらかしたまま、巻末ではちょっとなにかが起こりそうな展開もあり。
今後、物語が悲劇へと加速してゆくのか、あるいは、やっぱり中途半端なままダラダラと続くのか？　まったく先が読めないだけに、続きを見守らずにはいられない！　

＜文・井口啓子　＞
ライター。月刊「ミーツリージョナル」（京阪神エルマガジン社）にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」（DU BOOKS）寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter：@superpop69