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『BEASTARS』 第6巻 板垣巴留 【日刊マンガガイド】

2018/01/27


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『BEASTARS』

  

『BEASTARS』 第6巻
板垣巴留 秋田書店 ¥429+税
(2017年12月9日発売)


『このマンガがすごい!2018』のオトコ編で第2位にランクインしたことでも話題の本作。
擬人化された動物たちの群像劇を描いた本作も、その物語に大きなうねりを迎えることとなった。

主人公であるハイイロオオカミのレゴシが想いを寄せるウサギのハル。
前巻では彼女がいわゆるヤクザなライオンたちにさらわれてしまい、それを救出するさまが描かれた。
己に眠る「肉食獣」の本能をフル活用し、ハルを救いだすことに成功したレゴシは、あらためてその本能と向きあうことに。
肉食獣の力の恐ろしさを思い知りつつも、愛する者を守るためにその力を使うことを決意した様子。

そんな激動の展開を超え、最新巻で描かれるのはレゴシの恋模様。
恐竜の霊をお迎えする隕石祭の夜、ついにレゴシはハルに「好きだ」と告げるのだ。
そのシーンは、本作屈指の名場面と言えるだろう。

オオカミとウサギ。
肉食獣と草食獣。
捕食者と被捕食者。
どう考えても、彼らの恋路は壁が大きすぎる。けれど、どうにかうまくいってもらいたい。
だれもがそう願わざるをえない展開だ。

そして、ラスト間近で明らかになるのが、レゴシの恋のライバルとも呼べる、アカシカのルイの驚くべき決断。
レゴシとは違う道を選んだ彼は、このまま悪の道を進んでいくのだろうか……。

動物たちの青春ストーリーは、少しずつそのアイデンティティを巡る壮大な物語へと変貌していく予感。
肉食獣と草食獣の対立構造に決着がつく日は訪れるのだろうか。次巻も必読だ。



<文・五十嵐 大>
'83年生まれの、引きこもり系フリーライター。デスゲーム系やバトルもの、胸キュン必至の恋愛マンガやBLまで嗜む、マンガ好きです。マイブームは、マンガ飯の再現。

単行本情報

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