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『ナギと嵐』第1巻 もんでんあきこ 【日刊マンガガイド】

2014/12/17


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『ナギと嵐』第1巻
もんでんあきこ 集英社 \440+税
(2014年11月25日発売)


無精ひげの似合う無骨でセクシーな男を描かせたら、日本屈指のベテラン漫画家・もんでんあきこの手によって、いかつくてダンディーで色気のある天使、降臨!!!!!

裏社会で、極悪非道を絵に描いたようなろくでもない生き方をしていた郷田弘樹。その舎弟・鈴木哲司もまた、長い間社会のはみ出しものとして過ごしてきた。
そんな2人はある日、街で家出少女風情のナギ(18歳)を見つける。即座に「風俗に売っぱらってやる」と近づく剛田。と、そのとき、郷田の身に突如異変が起こり……。

冒頭わずか10ページ足らず、スピーディに進んでグイグイ引き込ませるこのプロローグからして、もう圧巻の一言!
いやらしく凶悪だった郷田の顔つき、眼差し、態度、物腰、言葉づかい……すべては一転し、男も女も惹きつける魅惑的なものへと変貌。そして彼は名乗る、「俺の名前は嵐だ」と。

ここでこれ以上のネタバレは、未読の読者には酷というもの。
「嵐」とは何者なのか? そして嵐の正体を見抜くナギの能力とは? 2人はなぜここに居合わせ、何を共有し、何を乗り越えていかねばならないのか……。
著者が仕掛ける謎に満ちた壮大なSFストーリー、この第1巻は、まだ序の口もいいところ。
思わず裏を読みたくなる登場人物たちの豊か過ぎる表情に翻弄されるばかりで、この先どんな展開が待つのかなど想像もできない。今はただ次巻を待ちわびるしかない……。

それからもうひとつ、「『ナギと嵐』というタイトルですがこのお話はナギと嵐と哲司が主役です」(作者談)の言葉どおり、この話は哲司という一般人の視点を通じて読者に語りかけ、引きこみ、読み進めるごとに心を奪って離さないものとなる。
もちろん、賢い読者ならすでにおわかりのように、哲司だってただものではない。だって、ナギのように美しく賢く清廉な女性が、心からの安心を得られる男なんて……私の経験から言って、そうそういるもんじゃないし!!
哲司はいつ、どんな風に化けるのかな???



<文・藤咲茂(東京03製作)>
美酒佳肴、マンガ、ガンダム、日本国と陸海空自衛隊をこよなく愛し、なんとなくそれらをメシのタネにふらふらと生きる編集ライター。

単行本情報

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