『ストップ!!ひばりくん! コンプリート・エディション』第1巻
江口寿史 小学館クリエイティブ \1,400+税
12月28日は「身体測定の日」。
1888(明治21)年のこの日、文部省(現在の文部科学省)がすべての学校に、毎年4月に「身体検査」を行うことを訓令した。
欧米に追いつけ追い越せとばかりに近代化が推し進められたこの当時。明治5年の学制発布とともに、学校保健や体育教育に力を入れる動きが高まっていったのである。
……などという堅苦しいイメージは現代の身体測定にはみじんもなく、授業もつぶれる楽しいイベント!?
体重が増えたの胸囲はどうだのと、キャッキャ騒ぐ女子を遠巻きに見て、悶々とする男子たちにとっても学生時代のそれは甘やかな思い出ではないだろうか。
本作の主人公・ひばりくんは、れっきとしたオトコだが、見た目はそんじょそこらの女子など吹っ飛ぶ美少女。女装の域を完全に超えた完成度で、なんと高校にも“女子”として通っている。
父は極道、関東大空組の組長で、ひとり息子のひばりくんには跡継ぎとして男らしくあってもらわねばと頭を抱えているのだが……。
ちなみに一家は、長女のつぐみ(20歳)、高校3年生のつぐみ、小学4年生のすずめと、いずれもかわいこちゃんぞろい。
そんな大空家にひょんな縁から居候することになった耕作は、ひばりくんと同い年。なぜかひばりくんに気に入られたようで、なにかと色っぽくせまられて……正体はオトコだと知りつつも、ときめいてしまったりする毎日なのだ。
ひばりくんは成績優秀、スポーツ万能、バンドもこなす人気者。1年生ながら高校のミスコンで1位に輝くカリスマぶりをやっかむ女子も、当然いるわけで。
そんなある日、スタイル抜群に見えるのに、どうも胸がないことに同級生女子が気づいてしまう。体育の着がえのときもやけにそそくさしているし、過去の身体検査も欠席していた……!?
その秘密をあばいてやろうと、身体検査の日、魔の手が忍び寄る!!
さて、この一大ピンチをどう乗り越えたかは読んでのお楽しみ。
それにしても、かわいくもあり色っぽくもあり、ボーイッシュ(当たり前か)な魅力もありのひばりくん……どのコマもすべてカンペキ☆
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」